- 保険を切り替えてたら勘違いして、予約だけでクタクタ
健康保険が変わって初めての健康診断
年に一度の健康診断。 毎年、秋になると受けています。
健康診断というくらいですから、本来は「健康かどうかを確認する日」のはずです。 ところが今年は、受ける前からクタクタになりました。
採血もしていません。 バリウムも飲んでいません。 胃カメラもまだ入れていません。 それなのに、すでに疲れています。
原因は病気ではありません。 「健康保険が変わったから」です。
人間ドックまでは、まあいいかな
私は毎年、秋ごろになると健康診断を受けています。 weただし、人間ドックというほど大げさなものではありません。
友人からは、 「一度、脳ドックも受けたほうがいいぞ」 と言われたことがあります。 確かに、年齢を考えればそれも大切なのでしょう。 しかし、脳、心臓、胃、大腸、肺……。 全部本格的に調べ始めると、そのうち一泊二日では終わらなくなりそうです。
「健康診断を受けるために入院する」 なんてことになったら、何のための健康診断なのか分かりません。 ということで私は、これまで受けてきた一般的な健康診断を基本にしています。
現役時代は会社が手配してくれていたので、私は指定された日に病院へ行くだけでした。 覚えている範囲では、 採尿、検便。 身長、体重、視力、聴力。 採血して血液検査。 腹部エコー。 心電図。 腹囲を測ってメタボチェック。 そして胃の検査。 だいたい、このあたりです。
会社がオプションをどこまで選んでくれていたのか、当時は正直あまり気にしていませんでした。 会社員というものは便利なものです。 「○月○日に健康診断です」 と言われれば、 「はい」 と行けばいい。
会社を辞めてから初めて、 「あれは誰かが全部手配してくれていたんだな」 と分かります。ありがたい話です。会社員時代には気付きませんでしたが。
バリウムをやめて胃カメラへ
胃の検査については、以前はバリウムを飲んで胃部レントゲンを受けていました。
白くてドロッとした液体を飲み、その後、検査台の上で、 「右を向いてください」 「一回転してください」 「もう少し左です」 などと言われます。 検査を受けているのか、体操教室に参加しているのか分からなくなります。 そのうえ、検査が終われば下剤を渡されます。
「これでどこまで胃がんを発見できるんだろう?」と思い、数年前からオプション料金を払って口からの胃カメラに変更しています。
こちらはこちらで決して楽しいものではありません。 口からホースのようなものを入れられ、 「力を抜いてください」 と言われますが、胃カメラを入れられて力を抜ける人がいたらかなりの達人です。 それでも、自分としてはこちらのほうが納得感があるので、毎年胃カメラをお願いしていました。
任意継続までは昨年と同じだった
退職したあと、1年半。協会けんぽを任意継続していました。 昨年は退職後初めての健康診断でした。
会社員時代との一番大きな違いは、予約を自分でしなければならないこと。 以前なら会社から「この日に行ってください」でした。 退職後は「自分で病院に電話してください」です。
まあ、これは当然です。会社を辞めたのに会社が予約してくれるわけがありません。 昨年は自宅から歩いて1kmほどの病院へ自分で予約し、これまでとほぼ同じ内容で受けることができました。胃カメラもお願いできました。
ですから今年も、「同じ病院で同じように受ければいいだろう」と軽く考えていたのです。
ところが今年4月、協会けんぽから国民健康保険に切り替えました。 ここから話がややこしくなります。
市役所から届く郵便物が多すぎる
国保に切り替えたあと、夏前だったと思いますが、市から健康診断についての封書が届きました。 もちろん見ました。たぶん。いや、見たはずです。
このころは国保への切り替えに加えて、保険料、税金、介護保険など、市役所から次々と郵便物が届いていました。 封筒。ハガキ。納付書。お知らせ。重要。大切なお知らせ。必ずお読みください。
「重要」と書かれた封筒が多すぎて、どれが一番重要なのか分かりません。 「重要オリンピック」があれば、市役所の郵便物は表彰台を独占しそうです。
私はそれなりに整理したつもりでした。 しかし、どうやら「つもり」だったようです。
病院で突然、「ハガキはありますか?」
秋になったので、先日、昨年と同じ病院へ健康診断の予約に行きました。 自宅から約1km。天気も良かったので、トコトコ歩いて行きました。
受付で、 「昨年と同じ健康診断をお願いします。胃カメラもお願いします」 と伝えました。
すると受付の方から、 「胃の内視鏡の場合、がん検診になりますので、市の保健センターから届いている案内のハガキをお願いします」 と言われました。
ハガキ? 私は頭の中で検索しました。 検索結果。0件。
「……何です、そのハガキって?」 受付の方が聞きます。 「健康保険を変えられましたか?」 「はい。今年4月に協会けんぽから国保に変えました」 「それなら、そのころ、市の保健センターから、がん検診についてのハガキが届いていると思います」
なるほど。健康診断と、がん検診。別なのか。 しかも案内も別なのか。
協会けんぽ時代は、健康診断の流れの中で胃や大腸の検査も受けていたので、私は完全に同じものだと思っていました。 胃カメラが「市のがん検診」という扱いになることすら知らなかったのです。
受付の方は親切に問い合わせ先の書かれた紙を出してくれ、 「一度、役所に問い合わせてみてください」 と教えてくれました。
電話でもいいのでしょう。 しかし私は、「胃カメラを受けたいのですが、ハガキがなくて、国保で、今年4月に切り替えて……」などと電話で状況を説明する自信がありません。 こういうときは、現物を持って窓口へ行くのが一番です。
そのまま区役所へ
病院から区役所までは、さらに約1km。 仕方ありません。トボトボ歩きました。
健康診断の予約に来ただけなのに、なぜ私は区役所へ向かっているのでしょう。 先日、国保への切り替えで区役所に来たばかりです。 そのときは1階だったので、「国保だから今回も1階だろう」と思いました。
念のため案内で「保健センターはどこですか?」と聞くと、「3階です」とのこと。 係が違いました。 国保は1階。健康診断関係は3階。 同じ健康保険の話に見えますが、行政の世界では別世界のようです。
エレベーターで3階へ上がり、恐る恐る窓口へ。 「あのー。今年4月に国保に切り替えて、健康診断を受けようと思って病院へ行ったら、検診案内のハガキを出してくださいと言われたのですが……」
担当の方は慣れた様子で、 「ご自宅に届いていませんか?」 「……たぶん……」 「再発行ということでよろしいですか?」 「お願いします」 「マイナンバーカードを見せてください」
こうして、待つこと約10分。無事にハガキが再発行されました。

そして、そのハガキを見た瞬間。 心の中で「あっ」と思いました。 見たことがあります。確実に見たことがあります。 今年の春ごろ、家に届いています。
しかし、ここで「ああ!これ家にありました!」と言うのも何となく悔しい。 そこで私は「初めて見ました」という顔をしてハガキを受け取り、 「ありがとうございました」 と区役所を後にしました。 大人には、知らないふりをしたほうが平和な場面もあります。
ハガキを持って病院へ凱旋
区役所から病院まで、また約1km。 先ほどまでトボトボ歩いていた足取りが、今度は少し軽くなっています。 ハガキという通行証を手に入れたからです。
病院へ戻り、 「ハガキ、再発行してもらいました。これで胃カメラの検査もお願いします!」 ちょっと誇らしい気分です。
受付の方も、 「では、当日は朝食を摂らずに来てください。この問診票と、今回のハガキ、それから採尿はこちらを使ってください」 と説明してくれました。
予約日は11月30日、午前10時。 これで一件落着。 私は「今日はよくやった」という気分で、病院から自宅まで約1km歩いて帰りました。
自宅→病院。 病院→区役所。 区役所→病院。 病院→自宅。 合計約4km。

健康診断の予約をしただけで4km歩きました。すでに健康に良さそうです。 スマホの歩数計だけは大喜びしているでしょう。
ところが家に帰ってから気付いた
家に着き、コーヒーでも飲みながら一段落。 今日の仕事は終わった。そう思っていたのですが、何となく違和感があります。
何か足りない。 採尿容器はもらいました。 問診票もあります。 ハガキもあります。 ……検便の容器がありません。
そういえば昨年までは、事前に便を採って持って行っていました。 改めて再発行してもらったハガキを見ると、「胃がん検診 1000円」の横に「大腸がん検診 400円」と書いてあります。
大腸がん検診。 ああ。あれが検便なのか。今さら気付きました。
小学生のころ、検便といえば「ぎょう虫検査」でした。 低学年の頃はマッチ箱、高学年になって小さなセロハンのようなものを渡され、朝起きたら使って学校へ持っていく。 昭和世代なら懐かしい話です。
ところが今の私にとって検便は、大腸がん検診。 時代も変わりました。そして検査されるほうも歳を取りました。 ぎょう虫から大腸がんへ。 検便にも人生があります。
また月曜日に病院へ行きます
気付いたときには、もう病院の受付時間は終了していました。 仕方ありません。休み明けの月曜日に、また病院へ行きます。
自宅から往復約2km。 受付で「あのう……検査項目を一つ増やしたいんですが……」と言う予定です。 おそらく「大腸がん検診ですね」と言われるでしょう。 そして検便容器を受け取って帰ってきます。
今年の健康診断。まだ受診すらしていません。 それなのに、申込完了までに歩く距離は6km。 当日の往復を入れれば8kmです。
健康診断を受けるために歩き回り、その結果、少し健康になっている。 これなら検査結果に「適度な運動を心がけましょう」と書かれても、 「やりました。健康診断の申し込みで6km歩きました」と言えます。
それにしても、協会けんぽから国保に変わると、健康診断の受け方まで変わるとは思っていませんでした。
健康診断は健康診断。 胃カメラは胃カメラ。 検便は検便。 私はそんな単純なものだと思っていました。
ところが実際には、 健康診断。 胃がん検診。 大腸がん検診。 それぞれ案内や申し込み方法が違います。
退職すると、会社が裏でやってくれていたことを自分でするようになります。 健康保険。年金。税金。そして健康診断。 会社員時代には見えなかった世界が、次々と見えてきます。
勉強にはなります。 ただし、できればもう少し分かりやすくしてほしい。
年金生活者に必要なのは、健康診断を受ける体力だけではありません。 制度を理解する知力。 ハガキを保管する記憶力。 そして、役所と病院を往復する脚力です。
今年の健康診断。果たして無事に受けられるのでしょうか。 まだ、検査日は来ていません。 次回に続きます。


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