S&P500はなぜ強いのか

- 40年間のIT業界で見てきた「主役交代」の歴史

日経平均が堅調に推移する一方、S&P500は高値圏で一進一退の値動き

最近の日経平均はついに7万円の壁を超え、72,000円台まで駆け上がるなど、歴史的な上昇を見せています。一方で、私が積み立てているS&P500は、「思ったほど上がらないなあ」と感じる日が続いています。 もちろん、短期で見れば株価が停滞することは珍しくありません。しかし、ふと新聞を見ていて「なるほど」と思う記事がありました。

2026年6月23日の発表で、ダウ平均の構成銘柄から通信大手のベライゾンが外れ、新たにアルファベット(Googleの親会社)が採用されるというニュースです。 この記事を見て私が感じたのは、「Googleが採用された」ということよりも、「またアメリカ経済の主役が交代したんだな」ということでした。

私が40年以上見てきたIT業界

1980年代のIT業界

私は1980年代から40年以上、IT業界で営業の仕事をしてきました。 新人の頃は「IT」という言葉はまだ一般的ではなく、「コンピューター業界」と呼ばれていました。 当時の主役は、IBMをはじめとする大型コンピューター。企業には専用のコンピューター室があり、給与計算や販売管理を行っていました。

1990年代

1990年代になると状況は一変します。
Windowsが普及し、一人一台パソコンを使う時代になりました。
Microsoft、Intel、Ciscoなどが急成長し、企業のシステムも大型コンピューター中心からネットワーク中心へと変わっていきます。

営業スタイルも変わりました。
以前は大型コンピューター一台を販売する世界でしたが、パソコンやサーバー、ネットワーク機器を組み合わせる提案型営業へ変わっていったのです。

2000年代に入ると

2000年代に入ると、今度はインターネットです。
Googleで検索し、Amazonで買い物をする。
当たり前になったこの世界も、当時はまだ新しいサービスでした。

営業をしていても、
「ホームページを作りたい」という相談から、
「インターネットで受注管理をしたい」
という相談へ変わっていきました。
企業がITを利用する目的そのものが変わってきたのです。

2010年以降は

2010年代になるとスマートフォンが生活の中心になります。
AppleやGoogleのサービスを毎日使い、Amazonで買い物をし、SNSで情報を得る。

さらに現在はAIの時代です。
生成AIによって、プログラムを書き、文章を書き、画像まで作れるようになりました。

私もブログを書く中でAIを毎日のように利用しています。

以前は下にあるような表を作成するための調査は膨大な時間が必要でしたが
今では、AIに「年代別のS&P500に属する主要業種と比率、当時の指数値(ドル建て)で出して」と書くだけで作成してくれます。
40年前には想像もできなかった世界です。

この40年をまとめると

  • 1980年代:IBM、DEC、HPなど大型コンピュータの時代
  • 1990年代:Microsoft、Intel、Ciscoが急成長
  • 2000年代:Google、Amazonがインターネット経済を築く
  • 2010年代:Apple、Meta、クラウドサービスが拡大
  • 2020年代:NVIDIAを中心としたAI革命

と、「付加価値の高い産業」が次々と変わってきました。

営業という立場で、その変化を最前線で見続けてきたように思います。

S&P500は企業を選んでいるのではない

S&P500という名前は70年近く変わっていません。しかし、その中身は時代ごとにまるで別物です。 業績が伸びる企業は自動的にウエイトが高くなり、新たに採用され、時代遅れになった企業は静かに姿を消していきます。 つまり、私たちは特定の企業に投資しているというより、「アメリカ経済の代謝そのもの」に投資している指数なのです。

その変化を年代ごとに並べてみると、非常に興味深いことが分かります。

S&P500の主役業種

表1 S&P500は70年間で主役がここまで変わった

年代S&P500指数(ドル・概数)主役だった業種時代を象徴する企業・出来事
1957年約44製造業・鉄鋼・自動車・石油・鉄道GM、USスチール、スタンダード・オイル。「モノづくりのアメリカ」
1970年代約90~110石油・エネルギー・金融オイルショックで石油会社が躍進
1980年代約140~330金融・消費財・製薬IBM、GE、コカ・コーラ、日本との貿易摩擦
1990年代約330~1,470IT・ソフトウェア・通信Windows95、Microsoft、Intel、Cisco
2000年代約1,450前後IT・金融・エネルギーITバブル崩壊後、資源高・住宅バブル
2010年代約1,250→3,200IT・ヘルスケア・消費サービスApple、Amazon、Google、Facebookが急成長
2025年頃約6,000前後AI・クラウド・半導体・デジタル広告NVIDIA、Microsoft、Apple、Amazon、Alphabet、Meta

そして、

表2:S&P500の時代ごとの主役と主要業種比率(概数)

年代IT金融エネルギー製造業ヘルスケア
1960年0%10%20%約50%5%
1970年代約2%15%約25%約40%6%
1980年代約5%20%20%約35%8%
1990年代約20%17%10%約25%10%
2000年代約35%15%7%15%12%
2010年代約25~28%15%5%10%13%
2025年頃約33%14%3%8%11%

※主要な5業種を抜粋しているため、合計は100%になりません。

株価より面白い「業種の交代」

この表を見ると、株価の伸びだけでも驚きます。S&P500は1957年の約44から、現在では約6,000。約70年間で130倍以上になりました。 しかし、私がもっと面白いと思うのは株価ではありません。主役の業種が見事に入れ替わっていることです。

大型コンピューターからAIへ。この流れを40年間の現場で見てきた私にとって、この「代謝」こそがアメリカ経済の強さだと確信しています。

S&P500は未来の主役に乗り換えていく

最近は日経平均ばかりが元気で、S&P500の動きは少し物足りなく感じるかもしれません。 それでも今回の「ベライゾンからアルファベット(Google)へ」というニュースを見て改めて思いました。

S&P500は、「今強い会社」をただ持ち続ける指数ではありません。

IT業界の変遷を振り返る

「これから強くなる会社」へ、時代とともに自然に乗り換えていく仕組みそのものなのです。だからこそ、70年近く世界中の投資家から支持され続けているのでしょう。

次回は日本の日経平均を見てみたい

ここまでS&P500の70年を振り返ってきました。 では、日本はどうだったのでしょうか。日経平均も1950年代から続く歴史ある株価指数ですが、S&P500とは計算方法も採用銘柄の考え方も大きく異なります。

次回は、日経平均225はどのような企業が主役となり、どのような変遷をたどってきたのか。S&P500との違いも交えながら、40年IT業界にいた私の視点で振り返ってみたいと思います。

― 年金生活者の白日夢 ―
年金生活での投資と資産の取り崩しや年金、健康保険に関すること。
すべて実体験のお話です。

 

※本記事は筆者自身の経験や調査に基づいて作成しています。 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。
年金制度や健康保険制度、保険料・税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報については、年金事務所や自治体窓口等でご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
※本記事は、67歳の年金生活者である筆者自身の体験や調査をもとに執筆しています。
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