年金生活者にとって本当に得なのは減税か給付金か?

- 減税と給付金、どちらが年金生活者に優しいのか

物価高対策で議論されている事

前回のブログでは、食品の消費税を1%にするのか、それとも0%(非課税)にするのかという議論について、年金生活者の視点で考えてみました。 食費は毎日の生活に直結しますから、消費税が下がれば確かに助かります。

ただ、政府の物価高対策として議論されているのは消費税だけではありません。 ニュースを見ていると、

  • 減税
  • 給付金
  • 給付付き税額控除

といった言葉も頻繁に登場します。 現役世代で働いている人なら、「税金が減るならうれしい」と感じる人が多いでしょう。 では、年金生活者にとってはどうでしょうか。 今回は政治的な話ではなく、純粋に家計の視点から考えてみたいと思います。

減税と給付金は似ているようで違う

まずは基本からです。 減税とは、「本来払う税金を少なくする制度」です。 一方の給付金は、「現金を直接支給する制度」です。

年金生活者にとって本当に得なのは減税か給付金か

どちらも家計を助けるための政策ですが、お金の流れは全く違います。 例えば国が一人あたり4万円の支援をするとしましょう。

単純な減税であれば、4万円以上の税金を払っている人は4万円分得をします。しかし、税金を2万円しか払っていない人は2万円分しか恩恵を受けられません。 一方、給付金なら税金を払っているかどうかに関係なく、全員に4万円が支給されます。 この違いが意外と大きいのです。

年金生活者はどれくらい税金を払っているのか

ここで年金生活者の実情を考えてみます。 現役時代は給料から、

  • 所得税
  • 住民税
  • 社会保険料

が毎月天引きされていました。給与明細を見るたびに、「こんなに引かれるのか」と思った人も多いでしょう。私もその一人です。

しかし年金生活になると状況は変わります。 もちろん税金がゼロになるわけではありません。年金からも所得税や住民税が引かれます。 ただし、収入自体が現役時代より少なくなるため、税負担も軽くなるケースが一般的です。

例えば私たち夫婦の場合、公的年金の合計は年間約323万円です。現役時代の給与収入と比べればかなり少なくなっています。 すると、「4万円減税します」と言われても、そもそも納めている税金がそれより少なければ、減税の恩恵をフルに受けることはできません。

現役世代と年金生活者では見え方が違う

仮にAさんとBさんがいるとします。

  • Aさん:現役会社員で、年間20万円の所得税を払っている
  • Bさん:年金生活者で、年間1万円の所得税しか払っていない

ここで「一律4万円の減税」が実施された場合、一般的な仕組みではAさんは4万円丸々トクをしますが、Bさんは1万円しか税金が安くなりません。 制度の上では「みんな一律に減税」と言っても、実際に受けるメリットは違ってきてしまうのです。

逆に「4万円の給付金」なら、AさんもBさんも同じ4万円です。 そのため、年金生活者から見ると、給付金の方が分かりやすく恩恵を感じやすいのです。

だからといって給付金が万能ではない

ここで話が終われば簡単です。しかし実際にはそうではありません。給付金にも問題があります。 最大の問題は、「誰に配るのか(線引き)」です。

例えば、「年収300万円未満の人に支給する」という制度を作ったとします。 すると、299万円の人は対象になり、301万円の人は対象外になります。わずか数万円の差で扱いがガラリと変わるため、「不公平ではないか」という意見が必ず出てきます。

では、全員に配れば良いのでしょうか。これも簡単ではありません。 年収300万円の人も、年収3000万円の富裕層も、同じ4万円。これが公平なのかという議論になりますし、全国民に配るとなれば必要な財源(予算)は莫大になります。

結局、給付金にするなら「誰に配るか、どこで線を引くか」という難しい問題から逃げることはできません。

私たち年金生活者の場合

私自身の家計で考えてみます。 年金は夫婦で年間約323万円。ここから税金や社会保険料が引かれますが、現役時代ほど大きな税負担ではありません。そのため、仮に一律の減税が実施されても、受けられる恩恵には限界があります。

一方で給付金なら、受け取った金額がそのまま家計の助けになります。 スーパーでの買い物、電気代、ガソリン代、病院代。年金生活者にとってはどれも切実です。給付金はそうした支出の穴埋めとして直接使えます。

だから年金生活者に限って考えれば、減税より給付金の方が恩恵を実感しやすい人が多いのではないかと思います。

本当に欲しいのは一時金なのか

ここで少し別の視点もあります。 仮に4万円の給付金を受け取ったとします。もちろんありがたいですが、食料品や光熱費の値上がりが続けば、数か月で消えてしまいます。一度だけ税負担が軽くなる減税も同じです。

つまり、私たち年金生活者にとって本当に重要なのは、給付金か減税かという話だけではありません。「生活コストそのものが安定すること」です。 食品価格や電気料金、医療費といった日常的な支出が落ち着く方が、長期的には家計への効果が大きいように思います。

支援策は「誰のためか」で答えが変わるのです。

まとめ:次回予告

減税と給付金。どちらも家計を助けるための方法ですが、その仕組みは大きく異なります。

  • 減税:現役世代には効果的だが、税負担の少ない年金生活者には恩恵が届きにくい
  • 給付金:年金生活者も実感が得やすいが、「不公平な線引き」や「財源」の問題がある

結局のところ、減税か給付金かという議論は、「どちらが正しいか」ではなく、「誰を支援するのか」という視点で考えるべきなのかもしれません。

しかし、世の中には「減税の良さ」と「給付金の良さ」を合体させた、ハイブリッドな仕組みが存在することをご存知でしょうか? それが、冒頭で少し触れた「給付付き税額控除」という制度です。

「それって一体どんな仕組み?」「年金生活者にとって最強の制度になり得るの?」 次回は、この気になるキーワードについて、分かりやすく掘り下げてみたいと思います。

― 年金生活者の白日夢 ―
年金生活での投資と資産の取り崩しや年金、健康保険に関すること。
すべて実体験のお話です。

 

※本記事は筆者自身の経験や調査に基づいて作成しています。 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。
年金制度や健康保険制度、保険料・税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報については、年金事務所や自治体窓口等でご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
※本記事は、67歳の年金生活者である筆者自身の体験や調査をもとに執筆しています。
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