― 国家投資は成長株か、それともテーマ株か
首相の重点投資対象として、AI、宇宙産業、次世代半導体等、未来を担う17分野へ大胆に投資する、とニュースは伝えています。
壮大な話です。

私はそのニュースを見ながら、電気ポットの保温を切りました。こちらも立派な経済対策です。わが家限定ですが。
夢は悪くない
AIが世界を変える。
宇宙ビジネスが次の成長エンジンになる。
それはきっと本当なのでしょう。実際、アメリカでは巨大IT企業がAIに莫大な資金を投じ、中国も国家戦略として長年取り組んでいます。
問題は「夢があるかどうか」ではありません。
問題は「規模と継続性」です。
投資の世界では、期待だけでは株価は上がりません。
資金の量と、続ける覚悟がものを言います。
米中と日本のAI投資額を比較してみる
ニュースでは勇ましい言葉が並びますが、数字はどうでしょうか。
そこで、米国・中国・日本のAI関連投資の推移を概算ベースで並べてみました。政府支出だけでなく民間投資を含む累積モデルですが、全体の勢いを見るには十分です。
数字は、ときどき残酷なほど正直です。

上のグラフを見てください。
アメリカは一直線に上へ。中国も着実に積み上げています。
日本も増えてはいます。
しかし同じグラフに並べると、どうしても小さく見えてしまいます。
私はコーヒーを飲みながら、しばらく画面を眺めました。
「挑戦すること」と
「勝てる土俵を見極めること」は、別問題ではないか。
投資の世界では、勝負に出るときは資金も覚悟も桁が違います。
テーマ株に少し乗るのと、産業の覇権を取りにいくのはまったく違う話です。
国家もまた、ポートフォリオを持っているはずです。
過去の記憶がよぎる
私は過去の国家支援プロジェクトを思い出します。
官民ファンド。国家戦略。再生支援。
その代表例の一つが
ジャパンディスプレイ でした。
「今度こそ世界を取る」と聞いた産業はいくつあったでしょうか。
志は立派でも、結果が伴わなかった例も少なくありません。
もちろん挑戦しなければ成長はありません。
しかし、成功確率と資金規模の見極めは欠かせない。
原資は税金です。
つまり、私の電気代や年金の財源と同じ財布から出ていくお金です。
足元の課題も未来への投資
AIも宇宙も夢があります。
しかし、足元の課題もまた未来への投資ではないでしょうか。
災害対策、老朽インフラ、エネルギー問題。
そして福島の廃炉作業。
派手さはありませんが、信頼を積み上げる投資です。
投資の世界で言えば、地味な高配当株のようなものかもしれません。
爆発的には伸びませんが、土台を支えてくれます。
私は反対しているのか
いいえ、単純に反対しているわけではありません。
AIや宇宙という未来産業への投資は必要です。
日本が何もせずに立ち止まるべきだとも思いません。
ただ、私は個人投資家として思うのです。
全力で成長株に賭ける前に、
土台は固めていますか、と。
国家もまた、資源配分の選択を迫られています。
限られた財源をどこへ振り向けるのか。
夢を見るのは自由です。
しかし、数字は嘘をつきません。
政府は宇宙へ。
私はスーパーへ。
スケールは違いますが、どちらも未来への行動です。
ただ一つ違うのは、
私の失敗は私の責任で済みますが、
国家の失敗は皆で負担するということです。
壮大な政策を聞くたびに、私は思います。
未来を目指すのは良い。
でも、足元は見えていますか。
そう考えながら、今日も私は電気ポットの保温を切るのです。
小さな財政健全化です。
わが家限定ですが。



コメント