属性証明機能って何? iPhoneはOK、Androidはバラバラ

- 私の御臨終と競争するマイナンバーカード

またマイナンバーカードに新しい機能が増えるらしい

2026年10月19日、デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」の対応機種を発表しました。

なんでも、翌20日から「属性証明機能」という新しい機能が使えるようになるそうです。

属性証明機能?

私は67歳になりますが、長年コンピューターに関わってきたので、この手の話は嫌いではありません。むしろ、新しい技術は大歓迎です。

しかし、今回の「属性証明機能」という言葉を見た瞬間、何のことやら分かりませんでした。

「属性」と聞くと、昔のコンピューターで使っていたファイル属性(読み取り専用なのか、隠しファイルなのか等)を思い出します。あるいはゲームの世界なら、火属性、水属性、雷属性でしょうか。

私は67歳なので、老人属性?

いやいや、そういう話ではありません。

調べてみると、意外に重要な機能であることが分かりました。

ところが、さらに調べていくと、次々と疑問が湧いてきます。

  • iPhoneなら使えるのに、Androidでは機種によって使えたり使えなかったりする。
  • スマホにマイナンバーカードを入れても、運転免許証にはならない。
  • 健康保険証にはなるらしいけれど、私の通う病院では使えそうにない。

いったい、何がどうなっているのでしょう。

属性証明機能とは、そもそも何なのか?

難しい名前ですが、簡単に言えば「スマートフォンで自分の氏名や住所、生年月日などを公的に証明する機能」です。

例えば、銀行で口座を作る場合。

今までは運転免許証やマイナンバーカードなどを提示して、本人確認をしてもらっていました。新しい属性証明機能に対応したサービスなら、スマートフォンだけで本人確認ができるようになります。

携帯電話の契約や、年齢確認が必要な店舗などでも利用が想定されています。

「私は確かに、この住所に住む、この名前の人間です」

それをスマホが公的に証明してくれるわけです。

なるほど。確かに便利そうです。

ところで、今までスマホに入れていた「電子証明書」とは何が違うのでしょう?

こちらは、主にインターネット上で本人を認証したり、電子申請に署名したりするための機能です。マイナポータルへのログイン、確定申告、コンビニでの住民票取得などに利用します。

一方、属性証明機能は、氏名や住所、生年月日など、その人自身の情報を証明するものです。

つまり、

  • 電子証明書:「本人として認証する機能」
  • 属性証明:「本人の情報を証明する機能」

……ただ、利用者としてはどちらも「本人確認」に変わりありません。

それなのに「電子証明書」「属性証明」「カード代替電磁的記録」など、次々と難しい言葉が登場します。「スマホ身分証機能」くらいにしてくれれば、まだ分かりやすいのですが。

技術者には正確な用語が必要なのでしょう。しかし、それを利用する国民全員が技術者ではありません。

iPhoneなら使えるのにAndroidはバラバラ

さらに驚いたのが、対応機種の違いです。

iPhoneでは、2025年6月からマイナンバーカードをAppleウォレットに搭載できるようになっています。iPhone XS以降で、必要なOSなどの条件を満たしていれば利用できます。

ところがAndroidは違います。

Google Pixelなら対応している機種がある。Galaxyも対応している機種がある。XperiaやAQUOS、Motorolaも機種によって対応状況が違います。

しかも、単純に「新しい機種なら使える」というわけでもありません。理由は、スマートフォンに搭載されているセキュリティチップなどの違いにあるそうです。

属性証明機能では、氏名や住所などの重要な個人情報を安全に保存し、改ざんされない状態で相手に伝える必要があります。そのため、一定の基準を満たす端末でなければ利用できません。

iPhoneはAppleがハードウェアもOSも管理しているため、比較的統一した対応ができます。一方、Androidは世界中のメーカーが製造しているため、同じAndroidでも中身はさまざまなのです。

なるほど、技術的な理由は理解できます。しかし、利用者にはやはり分かりにくい。

新しいスマホを買ったのに使えない。古いスマホでも使える機種がある。

これからスマホを買うときには、カメラ性能やバッテリー容量に加えて、マイナンバーカードの属性証明機能まで確認しなければならないのでしょうか。

スマートフォン選びも大変になったものです。

私のスマホは月35円。それでは無理なのか?

私が使っているのは、昨年機種変更したMotorolaの折りたたみスマートフォン「razr 50s」です。

このスマホ、実は端末代金が月35円なのです(もちろん通信料金ではありません。ソフトバンクで購入した際の、2年間の端末代金の分割払いが月35円ということです)。

2年間で840円。なかなかの格安スマートフォンでしょう。

(もっとも、端末代金の残額や返却条件などもあるので、840円で完全に買い取れるという意味ではありません。それでも、月35円で折りたたみスマートフォンを使っているというのは、なかなか愉快な話です)

ところが、このrazr 50sは、今回発表された属性証明機能の対応機種一覧に見当たりません。つまり、現時点では対応が確認できないのです。

残念。月35円のスマホでは、国家の身分証明は荷が重いのでしょうか。

いやいや、そんなことはありません。スマートフォンの値段とセキュリティ性能は単純には比例しません。

実際、私のrazr 50sには、すでにスマホ用電子証明書が登録されていました。マイナアプリを開いて確認すると、ちゃんと「追加済」と表示されています。利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書の両方が入っています。

なんだ。ちゃんと登録してあるではありませんか。すっかり忘れていました。

電子証明書設定を確認する

使える機能が入っているのに、本人がそれを知らない。これでは何のために登録したのか分かりません(登録したことを忘れている67歳の私にも、多少の問題はありそうですが)。

それにしても、属性証明機能を使うためだけにスマホを買い替える気にはなれません。

57万円もする最新iPhoneに機種変更すれば、属性証明機能は使えるようになるかもしれません。しかし、それでも運転免許証にはならない。通っている病院が未対応なら、スマホ保険証としても使えない。

それなら、今まで通り財布からマイナンバーカードを取り出した方が、はるかに経済的です。

国家のデジタル化には協力したい。しかし、そのために私の財布まで全面協力させるつもりはありません。月35円のスマホで、できるところまで頑張ってみましょう。

ところで、なぜ運転免許証にならない?

さて、スマートフォンにマイナンバーカードが入るというのなら、次に期待するのは運転免許証です。

私は、今でもあちこちドライブしています。しかし、いつまでも運転できるわけではありません。以前から75歳くらいを一つの目安として、運転免許証の返納を考えています。

現在67歳。あと約8年です。それまでにスマホが免許証の代わりになれば便利でしょう。

ところが、現在のスマホのマイナンバーカードは、運転免許証として使えません。

2025年3月から「マイナ免許証」という制度が始まっています。マイナンバーカードのICチップに運転免許情報を記録する仕組みです。しかし、これは実物のマイナンバーカードに免許情報を記録するもので、スマホに運転免許証を入れる制度ではありません。

つまり、

  1. マイナンバーカードには免許証を入れられる。
  2. マイナンバーカードの一部機能はスマホに入れられる。
  3. しかし、スマホに入れたマイナンバーカードは免許証にはならない。

なんだか、三段論法が成立していません。

免許証に追加する情報なんて、わずかでは?

ここで、もう一つ疑問が湧いてきました。

属性証明機能では、氏名、住所、生年月日などを証明できます。では、運転免許証として使うには、あと何の情報が必要なのでしょう?

考えてみると、それほど多くありません。

免許証番号、免許の種類、有効期限、取得年月日、そして眼鏡等やAT限定などの条件。そのほかに免許停止や取消しなど、現在も有効な免許なのかを確認する情報くらいでしょう。

データ量だけで言えば、ほんのわずかです。しかも、その情報はすでにマイナ免許証として、実物のカードに記録できるようになっています。

「だったら、その情報をスマホにも入れればいいじゃないか」

素人考えでしょうか。私は長年コンピューター関係の仕事をしていましたが、データを数項目追加すること自体は、それほど難しい話には思えません。

もちろん、実際にはもっと複雑な問題があります。

  • 免許停止や取消しがあった場合、スマホに保存した情報をどう扱うのか。
  • 警察官が路上で免許の有効性をどう確認するのか。
  • スマホが故障したらどうするのか。
  • スマホ上の免許証を、法律上の免許証としてどう位置付けるのか。

セキュリティと制度の両方を整える必要があります。つまり、問題は「情報を保存する容量」ではなく、「正しく、安全に運用する仕組み」なのです。

それは理解できます。しかし、技術的な土台があり、実物のマイナンバーカードには免許情報を記録できるのですから、ぜひ早く実現してほしい。

もっとも、開発を急がせすぎて、道路交通法までバグだらけになっては困りますが。

それなら健康保険証はどうなのか?

運転免許証が無理なら、健康保険証はどうでしょう。こちらは私にとって、もっと身近な問題です。

若い頃と違って病院とのお付き合いが増えてきます。以前から脂質異常症で薬を飲んでいましたが、今年は血圧を下げる薬まで追加されました。

眼科にも通っています。

健康に気を使っていても、身体の各部品は順番に経年劣化していきます。メーカー保証はとっくに切れています。

さて、スマホのマイナ保険証について調べてみると、こちらはすでに利用できることになっています。2025年9月から、対応している医療機関や薬局で順次利用が始まりました。

そして、私のrazr 50sにもスマホ用電子証明書が登録されています。ということは、スマホを病院に持っていけば、それだけで受付できるのでしょうか?

ところが、ここにも落とし穴がありました。病院側が「スマホのマイナ保険証」に対応していなければ利用できないのです。

今までの病院には、マイナンバーカードを置く顔認証付きカードリーダーがあります。私の行く病院にも設置されています。しかし、その機械にスマホを置けそうな場所はありません。

調べてみると、従来型の機械では、別途スマホ対応の読み取り機を設置するなどの準備が必要なのです。新型の読み取り機ならスマホを直接読み取れるものもありますが、すべての病院が対応しているわけではありません。

私の通う病院でも、少なくとも今まで見た限りでは対応していないようです(もちろん、受付に確認したわけではないので断定はできませんが)。

結局、実物のマイナンバーカードも持っていかなければ安心できません。せっかく電子化したのに、実物のカードも持ち歩く。今のところは二刀流です。

大谷翔平選手なら素晴らしいことですが、身分証明書の二刀流はそれほどありがたくありません。

何ができて、何ができないのか

ここまで来ると、私自身も混乱してきました。そこで、スマートフォンのマイナンバーカードで何ができるのか整理してみました。

用途スマホでの利用状況
マイナポータルへのログイン対応端末で利用可能
確定申告などの電子申請対応サービスで利用可能
コンビニでの住民票取得対応店舗・端末で利用可能
氏名・住所・年齢などの属性証明対応機種と対応サービスが必要
マイナ保険証対応医療機関なら利用可能
運転免許証スマホでは代用不可

※2026年10月19日時点。機種やサービス提供側の対応によって利用可否は異なります。

表にすれば、ある程度は分かります。しかし、普通の国民がここまで調べなければならないのでしょうか。

「スマホにマイナンバーカードを入れました」

「はい、これで使えます」

そう簡単にはいかないのが現在の状況です。私が気になるのは、制度が複雑になることで、かえって利用者が不安になることです。

  • 「私のスマホは対応しているのか?」
  • 「登録したのに、なぜ病院で使えないのか?」
  • 「実物のカードはもう持ち歩かなくてもいいのか?」

疑問が増えれば、不安も増えます。よく分からないから使わない、という人も出てくるでしょう。

技術的に安全な仕組みを作ることは大切です。しかし、「安全であること」と「利用者が安心して使えること」は必ずしも同じではありません。

私はマイナンバーカードの電子化には大賛成

ここまで不満ばかり書いてきましたが、私はマイナンバーカードの電子化に反対しているわけではありません。むしろ、大いに進めてほしいと思っています。

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード。それぞれ別々に持って歩くより、スマホ1台にまとまった方が便利です。

役所の窓口で何枚も書類を書いたり、本人確認のために何度もカードを取り出したりする必要がなくなれば、それだけでもありがたい話です。

ただし、スマホを持たない人や操作が苦手な人のために、実物のカードを使う方法も残しておく必要があります。電子化とは、全員にスマホを強制することではありません。使いたい人が便利に使えるようにすることだと思います。

また、全国の病院や自治体、民間企業の設備を一斉に更新するのが難しいことも、セキュリティを確保しながら少しずつ対応範囲を広げていくしかないことも理解しています。

だからこそ、「今どこまでできて、何がまだできないのか」を国民に分かりやすく知らせてほしいのです。

「属性証明機能に対応しました」と言われても、普通の人には何が便利になったのか分かりません。

「このスマホなら銀行で本人確認ができます」「この病院ではスマホだけで受付できます」と説明してくれた方が、よほど親切ではないでしょうか。

私の免許返納と御臨終、どちらが早い?

さて、最後に少し壮大な競争を考えてみました。

デジタル庁の開発スピードと、私の残り時間との競争です。

まず、運転免許証。

私は75歳を一歩の目安に免許返納を考えています。あと約8年。それまでにスマホの運転免許証を実現してもらいたいものです。

ただ、75歳になって免許を返納してしまったら、スマホに免許証を入れる必要そのものがなくなります。技術の完成を待っている間に、利用者の方が卒業してしまうわけです。

一方、健康保険証の方はもっと切実です。

こちらは75歳で返納する予定はありません。できれば平均寿命の84歳になっても、90歳になっても元気に病院へ通いたいものです。

しかし、人間には使用期限があります。メーカー保証はありませんし、交換部品もなかなか手に入りません。ある日、お医者さんから「ご臨終です」と言われたら、その時点で健康保険証も必要なくなります。

その前に、スマホ1台でどこの病院でも受付できるようになるでしょうか。

  • 免許証:私が返納するまでの約8年間。
  • 健康保険証:お医者さんにご臨終と言われるまで。

これが、私とデジタル庁の二つのレースです。

もちろん、健康保険証の方はできるだけ長期戦に持ち込みたいと思っています。私としては、スマホのマイナ保険証が全国どこの病院でも当たり前に使えるようになるのを見届け、それから何十年も使い倒すつもりです。

そして、もう一つ。

「月35円のrazr 50sがどこまで頑張れるのか」という第三のレースまで加わりました(ただ、こちらは2年間の分割払いが終わる来年で終わる可能性が高いです。さすがにスマホの方は、人間より早く買い替え時期が来るでしょう)。

デジタル庁の皆さん。ぜひとも私が元気なうちに完成させてください。こちらも負けないように、健康管理を頑張ります。

ただし、開発が遅れるからといって、私の方が急いでゴールするつもりはありません。

デジタル庁には早期完成を。私には長寿を。

これで手を打ちましょう。

次回は海外のデジタル身分証を調べてみる

それにしても、これだけ技術が進んだ時代に、なぜ身分証明書の電子化はこんなに複雑なのでしょう。日本だけの問題なのでしょうか。それとも、海外でも同じように苦労しているのでしょうか。

調べてみると、すでにスマートフォンで運転免許証や健康保険証を使っている国がある一方、日本と似た問題を抱えている国もありました。さらに、日本には漢字の異体字や外字など、独特の文字の問題もあります。

次回は、デンマーク、エストニア、韓国、EUなどの事例を比較しながら、日本の行政デジタル化が抱える課題も考えてみたいと思います。

もしかすると、日本のデジタル庁だけが遅いわけではないのかもしれません。世界の様子を見てみましょう。

※本記事は、筆者自身の経験や調査に基づく情報提供を目的として作成しています。
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 本記事は、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
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