サマージャンボ宝くじ、12億円の夢と300円の現実

ジャンボ宝くじに今回はプレミアムが有る

何気なくテレビを見ていると、今年もサマージャンボ宝くじのコマーシャルが流れていました。

出演しているのは、私の好きな里帆ちゃんと美桜ちゃんです。
もちろん、向こうは私の存在など知る由もありません。
テレビのこちら側で、年金生活者の私が「今回も出てるなあ」とニヤニヤしているだけです。

もし本当に里帆ちゃんや美桜ちゃんに知られていたら、それはそれで事件です。
たぶん宝くじより先に、家族会議が当せんします。

さて、ジャンボ宝くじは年に何回か発売されます。
私も毎回、自分の懐が許す範囲で、10枚3,000円のバラ買いだけしています。

「どうせ当たらない」と思いながらも買う。
「当たったらどうしよう」と思いながら、買った瞬間だけ人生設計が狂う。
これが宝くじの正しい楽しみ方かもしれません。

ところが今回のサマージャンボは、いつものジャンボとジャンボミニに加えて、「サマージャンボプレミアム」という1枚500円のくじも発売されています。

このプレミアムは、1等・前後賞合わせて12億円。

12億円です。

年金暮らしの私が、朝は納豆。昼はラーメン。夜はスーパーの値引きシールとにらめっこしている生活から、いきなり12億円です。

12億円という響きには夢があります。
夢というより、もはや軽い事故です。

宝くじの期待値を計算してみる

ところで、この宝くじ。
夢を買うものだとは分かっていますが、年金生活者としては、つい数字を見てしまいます。

「1枚買うと、平均していくら戻ってくるのか」

いわゆる期待値です。

まずは、1枚300円の通常のサマージャンボ宝くじです。

当せん金の内訳は、次のようになっています。

等級 当せん金 本数
1等 5億円 20本
前後賞 1億円 40本
組違い賞 10万円 1,980本
2等 100万円 200本
3等 1万円 200,000本
4等 3,000円 2,000,000本
5等 300円 20,000,000本

これを合計すると、総当せん金は次の通りです。

1等が100億円。
前後賞が40億円。
組違い賞が1億9,800万円。
2等が2億円。
3等が20億円。
4等が60億円。
5等が60億円。

合計で、283億9,800万円です。

発売総額は600億円。1枚300円ですから、発売枚数は2億枚です。

つまり、283億9,800万円 ÷ 2億枚 = 141.99円

1枚あたりの期待値は、約142円です。

300円払って、平均すると142円戻ってくる計算です。
数字だけ見ると、なかなか厳しい。
スーパーで300円の弁当を買ったら、ふたを開けると142円分だけ入っているようなものです。
残りの158円分は「夢」と「公共財源」と「大人の事情」です。

プレミアムの期待値は少し高い

次に、1枚500円のサマージャンボプレミアムです。

こちらは、前後賞合わせて12億円という豪華仕様です。

当せん金の内訳は、次のようになっています。

等級 当せん金 本数
1等 8億円 4本
前後賞 2億円 8本
組違い賞 50万円 396本
2等 1億円 8本
3等 5,000円 400,000本
4等 500円 4,000,000本

これを合計すると、

8億円 × 4本
2億円 × 8本
50万円 × 396本
1億円 × 8本
5,000円 × 400,000本
500円 × 4,000,000本

総当せん金は、97億9,800万円です。

発売総額は200億円。
4ユニットで4,000万枚ですから、

97億9,800万円 ÷ 4,000万枚 = 244.95円

1枚あたりの期待値は、約245円です。

500円払って、平均245円戻る計算です。
こちらももちろん、期待値だけで考えれば負けですが、通常のサマージャンボよりは少し還元率が高いことになります。

種類 価格 最高額 期待値 還元率
サマージャンボプレミアム 500円 12億円 約245円 約49.0%
サマージャンボ宝くじ 300円 7億円 約142円 約47.3%

こうして見ると、プレミアムの方が期待値も還元率も少し上です。

とはいえ、宝くじを期待値で買う人は、そもそも宝くじ売り場に近づいてはいけません。
期待値だけで考えるなら、買わないのが一番です。
家でお茶を飲んでいるだけで、300円が300円のまま残ります。
これは非常に高い還元率です。還元率100%です。

ただ、それでは夢がありません。
冷蔵庫に残った麦茶くらい現実的です。

12億円はうれしいが、少し怖い

もし12億円当たったらどうなるか。
もちろん、うれしいに決まっています。

しかし、年金生活者の私には、12億円は少し大きすぎます。

今の生活で12億円を使い切ろうと思ったら大変です。
まず、毎日のスーパーで値引きシールを待つ必要がなくなります。
ところが長年の習慣は恐ろしいもので、たぶん12億円当たっても、私は30%引きの総菜を見つけると反射的にカゴへ入れると思います。

「12億円あるのに、なぜ30%引きのコロッケを買うのか」
理由は簡単です。安いからです。
これは資産額の問題ではありません。
生き方の問題です。

しかも、12億円を銀行に置いておくだけでも、仮に金利0.4%なら年間480万円の利息がつきます。
ただし預金利息には20.315%の税金がかかるので、税引後は約382万円です。

つまり、382万円以内で1年生活すれば、元本の12億円を1円も減らすことはありません。

これはこれで怖い話です。
働かなくてもよい。
節約しなくてもよい。
それでも体に染みついた庶民感覚だけは抜けない。

たぶん私は、12億円の通帳を見ながら、電気代がもったいないと言ってエアコンを1度上げます。

さらに怖いのは、お金そのものより、お金にくっついてくるものです。

いきなり増える親戚。
突然届く寄付のお願い。
昔の知り合いからの「覚えてる?」という連絡。
玄関の鍵を二重三重に確認する防犯意識。
そして、妻からの「それ、本当にあなたの管理で大丈夫なの?」という冷静な視線。

12億円は、夢というより管理業務です。
年金生活者には、少し荷が重い。

5,000万円くらいが現実的な幸せかもしれない

その点、サマージャンボミニの最高5,000万円くらいなら、まだ現実味があります。

5,000万円でも、もちろん大金です。
老後の2,000万円問題どころか、夫婦2人ならかなり安心できます。
家の修繕、車の買い替え、旅行、医療費、介護への備え。
かなりの不安が薄まります。

人生は変わるけれど、人生が壊れるほどではない。
これくらいが、一番ありがたい金額かもしれません。

12億円だと、人生の操作説明書が必要です。
5,000万円なら、まだ自分でハンドルを握れそうです。

とはいえ、結局私は中途半端な人間です。
プレミアムに全振りする勇気もなく、ミニに現実路線で絞る決断力もなく、たぶんいつものように通常ジャンボを10枚、3,000円分、バラで買うことになるでしょう。

当たりそうで当たらない。でも買わなければ絶対に当たらない。
発表日までは少しだけ夢を見られる。
それで十分なのかもしれません。

返ってこなかったお金はどこへ行くのか

さて、通常のサマージャンボは1枚300円で、期待値は約142円でした。
では、戻ってこない約158円は、どこへ行くのでしょうか。

宝くじの売上は、すべて当せん金になるわけではありません。
公式に公表されている令和6年度の販売実績額7,598億円の内訳を見ると、次のようになっています。

区分 割合 金額 300円で見ると
当せん金 46.5% 3,529億円 約139.5円
収益金:自治体へ 36.2% 2,750億円 約108.6円
印刷経費・売りさばき手数料など 16.0% 1,218億円 約48.0円
社会貢献広報費 1.3% 101億円 約3.9円
合計 100% 7,598億円 300円

つまり、300円の宝くじを1枚買うと、平均的にはこういう配分になります。

当せん金に回る分が約140円。
自治体の公共財源になる分が約109円。
販売・印刷・運営経費などが約48円。
社会貢献広報費が約4円。

こうして見ると、宝くじは単なるくじではありません。

「当せん金という商品の中身」が約140円。
「自治体への公共財源」が約109円。
「販売運営コスト」が約52円。

言い方に気をつける必要はありますが、あえて庶民感覚で言えば、これはもう「夢付きの地方財源」です。

税金のようで税金ではない。
寄付のようで寄付でもない。
ギャンブルのようで公営。
そして当たれば非課税。

なかなか複雑な商品です。
スーパーの棚に並んでいたら、原材料表示をじっくり見てしまうタイプです。

運営費17%は高いのか

ここで、少し意地悪な見方をしてみます。

宝くじの内訳を見ると、印刷経費・売りさばき手数料などが16.0%、社会貢献広報費が1.3%。
合わせると17.3%ほどになります。
300円で見ると約52円です。
この17.3%という数字、けっこう大きいのではないでしょうか。

昔の時代劇ややくざ映画などで出てくる「丁か半か!」という丁半ばくち。
ああした非合法な賭博の世界では、胴元が取る手数料を「寺銭」と呼びます。

資料によって差はありますが、寺銭は4〜5%程度、高くても特殊な出目で1割程度という説明があります。

もちろん、非合法な賭博と宝くじを同列に並べるつもりはありません。
片方は完全にアウト。
もう片方は自治体の公共財源になる公的なくじです。
ここは大事です。

ただ、数字だけを横に並べると、少し驚きます。
丁半ばくちの寺銭は4〜5%、高くて10%程度。
宝くじの運営・広報費は約17.3%。
さらに、当せん金として戻ってこない割合、つまり控除率で見ると約53.5%です。

つまり、買う側から見ると、宝くじはかなり不利な遊びです。

乱暴に言えば、
「昔の賭場は胴元が怖い。宝くじは胴元が自治体なので安心。けれど、数字だけ見ると控除率はなかなか手強い」
ということになります。

ここで大切なのは、宝くじの約36%は誰かの懐に消えるわけではなく、都道府県や指定都市の公共財源になるという点です。
道路、公園、福祉、教育、防災など、自治体の事業に使われます。

ですから、宝くじを買うことは、ある意味で「公共財源への協力」にもなります。
ただし、こちらは協力するつもりより先に、「当たれ!」という欲望が全力で前に出ています。

私も宝くじ売り場で買うときに、
「地方財政に貢献します」
などと思ったことは一度もありません。

思っているのは、ただ一つ。

「頼む。今回は私の番にしてくれ」

それだけです。

夢は銀座の1番窓口にある

宝くじは、期待値だけで考えれば買わない方が得です。
これは間違いありません。

300円払って、平均142円戻る。
500円払って、平均245円戻る。
冷静に考えれば、財布の中でじっとしているお金の方が優秀です。

それでも買ってしまうのが宝くじです。
なぜなら、買った瞬間から抽せん日までの間だけ、人生が少しだけ広がるからです。

もし12億円当たったら、
築20年の中古で購入したマイホームの外壁や屋根のリフォーム資金にしようか。
車を買い替えようか。荷物もあまり積めないし、アイサイトは無いけれどフェラーリも買えるぞ。

サマージャンボ宝くじで夢を見る

いや、利息だけで生活できるなら、元本には手をつけない方がいいか。
でも、そんなに残してどうする。妻に怒られない程度に使わないといけない。
そんなことを考えている時間が、たぶん宝くじ代の一部なのです。

当たらない可能性の方が圧倒的に高い。
そんなことは分かっています。
分かっているから、10枚だけ買うのです。
3,000円分だけ夢を見るのです。

次に都内へ行く機会があれば、銀座チャンスセンターの1番窓口に並んでみようと思います。

なけなしの小遣いから、いつものジャンボをバラ10枚。
そして、買って振り返るとすぐ目の前にある銀座で豪遊する夢を見る。

実際には、豪遊どころか、どこかでコーヒーを飲んで帰るくらいでしょう。
それでもいいのです。

300円のくじ1枚には、約142円の期待値と、約109円の公共財源と、約52円の運営費が入っています。そして残りは、私の勝手な妄想です。
これが一番楽しいのかもしれません。

― 年金生活者の白日夢 ―
年金生活での投資と資産の取り崩しや年金、健康保険に関すること。
すべて実体験のお話です。

 

※本記事は筆者自身の経験や調査に基づいて作成しています。 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。
年金制度や健康保険制度、保険料・税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報については、年金事務所や自治体窓口等でご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
※本記事は、67歳の年金生活者である筆者自身の体験や調査をもとに執筆しています。
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