- ねんきんネットというタイムマシン
昭和の新入社員だった私の記録が令和に残っていた
前回までの記事では、ねんきんネットを利用して調べた結果、
- 私がこれまでに支払った年金総額
- 会社が負担してくれていた厚生年金
- 65歳まで働いたことで増えた年金額
などについて書いてきました。







今回は少し違う話です。
今回、ねんきんネットで自分の年金記録を確認していて、思わぬ発見がありました。
それは、「自分の履歴書を見ているような気分になった」ということです。
年金額を調べるつもりだったのに、いつの間にか40年以上前の自分を思い出していました。
そして気が付けば、年金の話よりも、昔の会社や同僚の顔ばかりが頭に浮かんでいたのです。
今の若い人とは少し違う年金制度
今の若い人は20歳になると国民年金に加入します。大学生でも、アルバイトでも、無職でも、20歳になればすべての人が年金制度の対象になります。
しかし、私たちの世代は少し違いました。
少なくとも私の感覚では、「年金は働き始めてから払うもの」でした。
というのも、当時は学生の国民年金への加入は義務ではなく、個人の自由(任意加入)だったからです。
そのため、大学生だった私は年金を払っていません。
そして22歳で就職し、初めて給料をもらい、そこで初めて厚生年金を払いました。
当時は年金のことなどほとんど考えていません。
「給料日にいくらもらえるか」 「初めてのボーナスはいくらか」 そんなことばかり気にしていました。
まさか40年以上も後に、その頃の記録をパソコンで確認する日が来るとは思ってもいませんでした。
オレンジ色の年金手帳を覚えていますか?
ねんきんネットを見ていて、もう一つ懐かしいものを思い出しました。
オレンジ色の年金手帳です。私たちの世代にとっては、実におなじみの存在でした。
就職すると会社へ提出し、転職すると返してもらい、また次の会社へ提出する。そんな使い方をしていました。
そして私の年金手帳には、もう一つ大事なものがホッチキスで留められていました。
雇用保険被保険者証です。細長い紙でした。
転職するたびに、「年金手帳はありますか?」「雇用保険被保険者証はありますか?」と聞かれたものです。
当時は紙がすべてでした。
今のようにマイナンバーも、クラウドも、スマホもありません。
年金も雇用保険も、あの手帳と紙切れが確かな証明書代わりだったのです。
ところが現在では年金手帳の新規発行は廃止され、「基礎年金番号通知書」に変わりました。
そして記録はすべてデジタル化されています。
昭和の頃に大事に持ち歩いていたものが、今ではパソコンの画面の中に入っているのですから、時代は本当に変わりました。
最初の会社の名前が残っていた
ねんきんネットで加入履歴を開くと、最初に就職した会社の名前が表示されていました。
思わず画面に見入ってしまいました。
40年以上前の会社です。
当時は社会人として右も左も分からない新人でした。
パソコンもまだ一般的ではなく、システム開発の現場も今とは全く違いました。
その会社の名前が、令和の今も記録として残っています。
そこから順番に見ていくと、転職した会社、再就職した会社……と、懐かしい会社名が次々に出てきます。
まるで自分の人生を逆再生しているようでした。
試用期間だけで終わった会社もあった
記録を見ていて面白かったことがあります。
私の記憶には残っているのに、ねんきんネットに表示されない会社があったのです。
よく考えてみると、その会社には試用期間だけ在籍し、厚生年金に本格的に加入する前に退職していたようでした。
だから記録には残っていません。
しかし、私の記憶には鮮明に残っています。
初出勤の日。ぎこちない自己紹介。そして、短期間で退職したこと。
記録には残らなくても、自分の人生には確かに存在した会社でした。
失業期間の記録まで残っていた
転職経験が6回もあると、当然ながら失業期間(ブランク)もあります。
今でこそ笑い話ですが、当時は本当に不安でした。
「次の会社が決まるのか」 「生活費は足りるのか」 「家賃は払えるのか」 そんなことばかり考えていました。
そしてねんきんネットには、その頃の苦しかった記録までしっかり残っています。
国民年金を自分で納付していた期間。
年金事務所へ行って免除手続きをした期間。
さらには、「未納の可能性があります」という表示までありました。
それを見て、「ああ、あの厳しい時代か」と思い出しました。
当時の私は将来の年金など考える余裕はなく、目の前の生活で精一杯でした。
しかし、その時の足跡が今でも記録として残っているのです。
倒産した会社の記録も残っていた
加入履歴の中には、その後倒産してしまった会社もありました。
当時は経営状態も決して良くなく、社員の間でも不安な空気が流れていました。
「ちゃんと社会保険料は会社から納められているのだろうか」と思ったこともあります。
今ほど情報が簡単に手に入る時代ではありません。会社を信じるしかありませんでした。
しかし今回確認すると、その会社で働いていた期間の加入記録もしっかり残っていました。
少し安心すると同時に、「あの会社も今はもう無いのか」と複雑な気持ちになりました。
年金記録というより「職歴アルバム」
今回、私は年金額を確認するためにねんきんネットを開きました。
ところが実際には、年金額よりも昔の記憶の方が次々によみがえってきました。
- 最初の就職と、度重なる転職
- 失業時代の不安
- 倒産した会社や、試用期間だけで終わった会社
- オレンジ色の年金手帳と、ホッチキス留めの雇用保険被保険者証
ねんきんネットは年金記録を確認するためのサービスです。
しかし私にとっては、激動の「会社員人生のアルバム」のようなものでした。
まとめ
転職経験6回。すべてシステム開発関連の会社でした。
営業職として長く働いてきましたが、その途中にはさまざまなドラマや会社がありました。

今回、ねんきんネットを見て驚いたのは年金額そのものではありません。
昭和の新入社員だった頃の記録が、令和の今でも色褪せずに残っていたことです。
そして、その記録を見ているうちに、当時の上司や同僚の顔まで思い出してしまいました。
もう連絡先も分からない人もいます。
すでに引退している人もいるでしょう。
それでも、「あの人、今どうしているかな」と思ってしまいます。
年金記録を確認するつもりだったのに、気が付けば人生を振り返る豊かな時間になっていました。
ねんきんネットというのは、数字を確認するだけのシステムではありません。
私にとっては、40年以上の会社員人生を思い出させてくれる、少し不思議なタイムマシンでした。


コメント