低所得者に1日14円の給付金! 物価上昇率2%達成!

- それで本当に生活は楽になるのか?

1日14円の給付金というニュース

昨日、新聞を読んでいて、思わず「なんだかなあ」と声が出てしまいました。

以前、このブログでも取り上げた「所得連動型給付」の話です。そのときは「年金生活者はどうやら対象外になりそうだ」という件を書きました。今回は、その給付金の具体的な金額が少し見えてきたというニュースです。

なんでも、所得の低い人には年間5,000円程度の給付を検討しているそうです。

年間5,000円。 月額にすれば約417円。 1日当たりにすると、約13円70銭。

なんと、1日14円!

今どき14円で何が買えるのでしょう。駄菓子屋に行っても、買えるものを探すのが難しそうです。 もちろん、5,000円をいただけるなら何もないよりはありがたいでしょう。しかし、生活に困っている人を支援するための政策として、年間5,000円という金額にどれほどの意味があるのでしょうか。

今回政府が示したのは、「就業者負担軽減支援金」という制度の参考案です。2027年からの2年間、食料品の消費税率を1%引き下げる措置と併せて導入が検討されているもので、年収119万円以下の対象就業者には年間5,000円程度、年収119万円を超えると給付額が増えていく仕組みが示されています。

(※ただし、給付額も対象者も、まだ正式に決まったわけではありません)

それにしても、1日14円。ずいぶん細かい金額まで計算してみましたが、計算したところで生活が豊かになるわけではありません。

その隣には「物価上昇率2%」のニュース

新聞を読み進めて、さらに興味深かったのは、その記事のすぐ近くに掲載されていた日本銀行のニュースです。

日銀は、基調的な物価上昇率が目標の2%程度に到達したと判断し、今後はこの水準で安定させていくことが重要だというのです。長年目指してきた目標に、ようやく近づいたというわけです。

ただし、日銀自身も「2%の物価上昇が持続的・安定的に実現した」とまでは判断していません。これからは2%程度で定着させることが課題だそうです。

……ちょっと待ってください。

物価上昇率2%を維持するということは、「物価が上がらなくなる」という意味ではありません。毎年2%ずつ、物価が上がり続けるということです。

例えば、今年100円で買えたものが、来年には102円。その翌年には約104円になり、10年後には約122円になります。もちろん、すべての商品が同じ割合で値上がりするわけではありませんが、物価全体が毎年2%上昇するというのは、そういうことです。値上げが止まるわけではないのです。

一方では、生活に困っている人に年間5,000円の給付金。 もう一方では、物価上昇率2%を今後も維持していくという話。

給付金1日14円と物価上昇率2%の記事になんだかなあ

この2つの記事を並べて読むと、なんとも複雑な気持ちになります。

年間360万円の生活費はどうなる?

我が家の生活費は、夫婦2人で年間360万円ほど(月額30万円)を目安にしています。

この生活費が、物価上昇率と同じ「年2%」の割合で増えていくと仮定すると、どうなるのでしょう。

・1年後:367万2,000円 ・5年後:約397万5,000円 ・10年後:約438万8,000円

なんと10年で、年間約79万円も多く必要になります。

もちろんこれは単純な試算です。実際には、生活費の中には物価ほど増えない支出もありますし、暮らし方によっても変わります。しかし、今と同じ生活を続けるために必要なお金が、年々増えていくことは間違いありません。

ところが、年金はどうでしょう。 年金も物価や賃金の変動によって改定されますが、「マクロ経済スライド」という仕組みがあるため、物価が2%上がったからといって必ず年金も2%増えるわけではありません。つまり、年金の増加が物価上昇に追いつかなければ、毎年少しずつ生活が苦しくなっていくのです。

そんな中での、年間5,000円の給付です。

仮に我が家の生活費が1年間で2%(72,000円)増えたとして、それに対して5,000円の給付は、増加分の約7%にすぎません。 もっとも、この給付制度は生活費全体の物価高騰を補償するものではなく、就業者の負担軽減を目的としたものなので、単純には比較できません。それでも「生活が苦しい人にとってどれほどの助けになるのか」という疑問は残ります。

年金生活者は蚊帳の外。でも、それでいいのか?

私は67歳の年金生活者です。 今回の給付は働いている人の負担を軽くすることを目的としているため、年金収入だけで生活している人は基本的に対象外です。つまり、私は蚊帳の外。

以前のブログでもこの点について触れましたが、別に「自分にも5,000円を配ってほしい」と言いたいわけではありません(まあ、いただけるものなら遠慮はしませんが……)。

年間5,000円あれば、焼酎を何本か買えます。私の場合、生活費ではなく「身体の中からの消毒費」に消えてしまいそうです。

……それはさておき。今回本当に気になっているのは、年金生活者が対象になるかどうかではありません。

「若い人たちが、まともに生活できる社会になっているのか?」ということです。

食料品も、電気代も、家賃も上がる。給料が上がったとしても、それ以上に生活費が増えてしまえば暮らしは楽になりません。若い人たちにはこれから結婚や子育て、住宅購入など、お金のかかるライフイベントがたくさんあります。 もちろん、そうした生き方を選ぶかどうかは人それぞれですが、少なくとも生活費に追われ、将来のことを考える余裕さえ持てない社会では困ります。

そして、これは若い人たちだけの問題ではないのです。

若い人たちが年金を払えなくなったら、私も困る

日本の公的年金は、基本的に「賦課方式(ふかほうしき)」という仕組みで運営されています。簡単に言えば、現在の現役世代が納めている保険料で、今の年金受給者を支える仕組みです。

もちろん、税金による国庫負担や年金積立金もありますから、現役世代の保険料だけで成り立っているわけではありません。しかし、現役世代が安定して働き、保険料を納めてくれることが年金制度の大きな柱であることに変わりはありません。

もし、若い人たちが生活に困り、国民年金の保険料さえ払えなくなったらどうでしょう。

免除や納付猶予といった制度はありますが、未納のまま放置すれば将来受け取れる年金額が少なくなったり、受給資格に影響したりします。そして、保険料を負担できる現役世代が減っていけば、長期的には年金財政そのものにも大きな影響が出ます。

つまり、若い人たちが困るだけではありません。現在の年金生活者も、将来の年金生活者も、みんな困ることになるのです。

私はすでに年金を受け取る立場ですが、だからといって現役世代に「私たちの年金を支えるために頑張って保険料を払ってくれ」とだけ言うつもりはありません。それではあまりにも身勝手でしょう。

若い人たちが自分たちの生活をしっかり守りながら、無理なく保険料も納められる社会でなければ、年金制度そのものが安心できる仕組みになりません。年金生活者と現役世代は、決して別々の世界に住んでいるわけではなく、同じ社会で同じ経済の中に暮らしているのです。

本来、給付金がなくても暮らせることが大切では?

ここで、最初の話に戻ります。

「低所得者に年間5,000円の給付」 もちろん、給付金そのものを否定するつもりはありません。本当に生活に困っている人には必要な支援が届かなければなりません。病気や失業、家庭の事情などで一時的に生活が苦しくなることは誰にでもあります。そうした人を社会全体で支える仕組みは絶対に必要です。

しかし、普通に働いて普通に暮らしている人たちまで「給付金がなければ生活できない」という状態が続くのであれば、何かがおかしいのではないでしょうか。

給付金は、あくまでも生活を支えるための手段です。配ること自体が政策の最終目的になってはいけません。 本来目指すべきなのは、給付金に頼らなくても、働く人が自分の所得で安心して暮らせる社会であり、長年働いて引退した人が年金を中心とした収入で安心して老後を過ごせる社会のはずです。

そのためには、単に額面の賃金を増やすだけでなく、物価上昇を上回る所得の伸び(実質賃金の増加)が必要になります。

例えば、給料が3%上がっても物価が4%上がれば実質的な購買力は下がります。逆に、物価が2%上がっても所得がそれ以上に増えれば生活は豊かになります。日銀が目指しているのも、本来は賃金と物価がともに緩やかに上昇する好循環なのでしょう。

しかし、私たち国民にとって大切なのは「物価上昇率2%」という数字そのものではありません。その数字の向こう側にある、毎日の暮らしがどうなるのかという実情です。

数字は立派でも、暮らしが楽にならなければ意味がない

物価上昇率2%。 年間5,000円の給付。

新聞に並んだ2つの数字を眺めながら、そんなことを考えました。

経済政策には、私のような素人には分からない難しい仕組みがたくさんあるのでしょう。金融政策、財政政策、金利、為替、賃金、税金……どれも複雑に絡み合っています。 ただ、生活する側から見れば、もっとシンプルな話です。スーパーに行って、昨日まで100円だったものが120円になっていたら「高いな」と感じます。給料や年金が増えていなければ、買うものを減らすしかありません。

そんなときに「1日14円の支援があります」と言われても、何とも言えない気分になります。もちろん、それでも助かる人はいるでしょう。しかし、せっかく政策を動かすのであれば、もっと先を見てほしいものです。

私は67歳。これからの人生は、これまで生きてきた時間よりもずっと短いでしょう。しかし、今の若い人たちはこれから何十年もこの社会で暮らしていかなければなりません。その人たちが毎日の生活に追われ、将来の年金まで心配しなければならないとしたら、なんとも寂しい話です。

私たち年金生活者の暮らしも、現役世代の安定した生活があってこそ成り立っています。だからこそ、今回の給付から年金生活者が外れていることだけを問題にしたいわけではありません。

若い人も、働き盛りの人も、年金生活者も、給付金に頼らず普通に暮らしていける社会。そんな当たり前のことが、当たり前であってほしいのです。

物価上昇率2%の達成が経済にとって一つの節目であることは分かります。しかし、それが私たちの生活の豊かさにつながらなければ、数字だけの成果になってしまいます。「1日14円をありがたがる社会」ではなく、「1日14円の給付を必要としない社会」を目指してほしいものです。

……もっとも、年間5,000円の給付金がなくても暮らせるようになったところで、私の焼酎代が増えるとは限りません。物価が上がれば焼酎だって値上がりするでしょうから。

せめて、これ以上「身体の中からの消毒費」まで値上がりしないことを願うばかりです。(まあ、健康のためにはそちらの支出を減らすほうが先なのかもしれませんが……)

※本記事は、筆者自身の経験や調査に基づく情報提供を目的として作成しています。
 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
 年金制度、健康保険制度、保険料、税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報は、年金事務所、自治体、税務署等の窓口でご確認ください。
 本記事は、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
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