- 台風の日は624歩 でも普段は目指せ1日8,000歩です
台風が通り過ぎた昨日は624歩しか歩いていない
台風が通り過ぎました。 被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。 幸い、築25年、海なし県に建つ我が家には特に被害はありませんでした。 雨戸が飛んだわけでもない。 屋根瓦が飛んだわけでもない。 庭の植木鉢も無事。 しかし、昨日は一日中、ほとんど家から出ませんでした。
外に出たのは、朝刊を取りに玄関を開けたときだけ。 つまり、 「自分の土地から一歩も外へ出ていない」 という、見事なまでの引きもり生活です。
夜になってスマホの歩数計を見てみました。 624歩。 思わず二度見しました。 6,240歩ではありません。 624歩です。
トイレに行く。 コーヒーを入れる。 冷蔵庫を開ける。 テレビの前に戻る。 どうやら、その程度で一日が終わったようです。 人間、頑張れば600歩台でも生きていけることが分かりました。 いや、分からなくてもいい知識ですが。
何もしなければ、本当に歩かなくなる
会社員時代なら、嫌でも歩きました。 駅まで歩く。 電車を乗り換える。 会社の中を歩く。 昼飯を食べに行く。 取引先を訪問する。 本人は「今日は全然歩かなかった」と思っていても、スマホを見ると5,000歩、6,000歩くらいにはなっていました。
ところが、年金生活になると事情が違います。 誰も、 「10時に会議室へ来てください」 とも、 「午後から客先訪問です」 とも言ってくれません。 極端な話、一日中家にいても誰にも怒られない。 これは自由で素晴らしい。 その一方で、自由というものは恐ろしい。 放っておくと、本当に歩かないのです。
「健康のために毎日8,000歩!」 と言われても、健康という目標だけではなかなか続きません。 8,000歩歩いたところで、玄関に表彰状が届くわけでもありません。 妻から、 「本日は8,000歩達成、おめでとうございます」 と拍手されるわけでもない。
そこで私は、スマホのウォーキングゲームをいくつか利用しています。 歩く目的を、自分で作るのではありません。 スマホに作ってもらうのです。
一つ目は「あるくと」
まず一つ目が、 『aruku&(あるくと)』 です。 街のマップ上にキャラクターが出てきます。 そのキャラクターをタップすると、 「○時間以内に○歩歩いてください」 といった依頼が出ます。 あとは歩くだけ。 非常に簡単です。
敵と戦う必要もありません。 魔法を覚える必要もありません。 世界を救う必要もありません。 ただ歩きます。 年金生活者に突然、 「魔王を倒してください」 と言われても困りますが、 「1,000歩歩いてください」 ならできます。
条件を達成すると、プレゼントへの応募などができます。 公式でも、スマホを持って歩くだけで地域の名産品などが当たるウォーキングアプリとして案内されています。 私も、たまにコンビニで交換できるお菓子が当たったりします。 昔は、アイスクリームの詰め合わせが当たったこともありました。 歩いて健康になって、そのあとアイスクリームを食べる。 プラスなのかマイナスなのか分かりません。 ただ、人生とはそういうものです。
このゲームのいいところは、プレッシャーがほとんどないこと。 「今日は歩けなかった」 それなら、それで終わり。 「あなたは昨日のノルマを達成できませんでした」 と上司のように怒ってくることもありません。 気楽に続けられるウォーキングゲームです。
二つ目は、電柱を撮る「ピクトレ」
もう一つ、私がかなり本格的にやっているウォーキングゲームが、 『ピクトレ』 です。 始めたのは昨年10月。 ちょうど1年くらいになります。
このゲーム、一言で説明すると、 「街を歩いて電柱などの写真を撮るゲーム」 です。 ……。 この一文だけ読むと、 「その人、大丈夫か?」 と思われるかもしれません。 自分でもそう思います。
スマホを持って街を歩き、 電柱を見つけて、 立ち止まり、 じっと電柱を見上げ、 角度を変えて写真を撮る。 知らない人が見れば、相当に怪しい。 普通の人は、電柱をそんなに真剣に見ません。
ところがピクトレでは、電柱などの設備を撮影し、その情報をインフラ管理に役立てる仕組みになっています。 電柱につるやツタが絡んでいないか。 設備に異常がないか。 周囲に問題がないか。 そうした情報の早期発見に利用されています。
つまり、ただのゲームではなく、 「歩く +ウォーキングゲーム + 社会インフラの点検」 という組み合わせになっているのです。
電柱の前でスマホを構える怪しい老人
ただし、一つ問題があります。 街中で電柱の写真を撮っていると、やはり怪しまれます。 特に住宅街。 人の家の前にある電柱に向かって、知らない老人がスマホを構えている。 家の中から見れば、 「あの人、何を撮っているんだ?」 となります。
実際、これまで何度も近所の方から声を掛けられました。 「何をしているんですか?」 口調は普通でも、顔には、 (あなた、本当に電柱を撮っているだけですか?) と書いてあります。
そこで私は最初、100円ショップで材料を買い、自作の身分証明書と腕章を作りました。 こういう工作は得意です。 それを装着すると、一気に、 「怪しい老人」 から、 「何かの業務をしているらしい老人」 へ昇格します。 この違いは大きい。
その自作腕章をX(旧Twitter)に投稿したところ、なんとピクトレの主催者側から正式な腕章を送っていただきました。 今では堂々と、その腕章を着けて歩いています。

地味な作業服。 腕章。 スマホ。 そして年齢。 この組み合わせになると、なぜか妙な説得力が出ます。 若い人が住宅街で電柱の写真を撮っていると、 「何かSNSにアップするのか?」 と思われるかもしれません。 私くらいの年齢になると、 「ああ、何かの点検だろう」 と思ってもらえる。 枯れていることが、初めて武器になりました。 そう考えると、これは意外に年金生活者向きのゲームかもしれません。
今は防災設備まで歩くゲームになっている
ピクトレは電柱だけではありません。 「防災チャンピオンシップ」というイベントも開催されています。 8月には全国47都道府県、1,741市区町村を対象に、街中にある防災設備を探して撮影するイベントが行われました。
消火器ボックス。 AED。 避難場所標識。 防災倉庫。 公衆電話。 給水拠点。 防災行政無線。
普段なら気にも留めないものばかりです。 しかし、ウォーキングゲームになると探してしまいます。 「あ、こんなところにAEDがあったのか」 「この公園、防災倉庫があるんだ」 「ここが災害時の給水拠点なのか」 歩いているだけなのに、自分の住んでいる街のことに少し詳しくなれます。
現在の9月以降の「避難訓練シーズン」では、8月までに集められた防災設備のデータを利用して、地図上に表示された指定スポットまで実際に歩いてチェックインします。 要するに、 「スマホに命令されて防災設備まで歩く老人」 です。

しかし考えてみれば、災害が起きてから、 「AEDはどこだ?」 「避難場所はどこだ?」 と探すより、普段の散歩で知っておく方がずっといい。 ウォーキングゲームをしていたら、知らないうちに地域の防災訓練にもなっていた。 これは、なかなか面白い仕組みだと思います。
1年間で47,000円
そしてピクトレには、もう一つ楽しみがあります。 撮影やゲームの成果によってポイントや報酬がもらえることです。 私は昨年10月から約1年間で、Amazonギフトカードなどに交換した金額が、 約47,000円。
「おお、それは儲かる!」 と思われた方。 少しお待ちください。 今まで1年間で、だいたい30回ほど参加して、1回につき2時間くらい歩いています。 単純計算すると約60時間。 47,000円 ÷ 60時間。 時給にすると、 約780円。 ざっくり言えば時給800円です。
今どきのアルバイト代と比べれば、胸を張れる金額ではありません。 交通費まで考えたら、もっと下がります。 これを「副業」として考えると、かなり弱い。
しかし、 「健康のために2時間ウォーキングしたら、ついでに1,600円ほどもらえた」 と考えると、印象はまったく違います。 普通のウォーキングなら、2時間歩いて帰ってきても収入は0円です。 むしろ途中でコンビニに寄ってコーヒーを買えばマイナスです。 ピクトレなら、少なくとも何かのおまけが付く。 私の場合、目的はお金ではありません。 「歩く理由を作ること」。 これが一番大きいのです。
「健康のため」だけでは続かない
ウォーキングが健康に良い。 そんなことは誰でも知っています。 問題は、 「知っていることと、実際に歩くことは別」 ということです。
医者から、 「運動してくださいね」 と言われた翌日は歩きます。 3日後には、 「今日は暑いから」 となります。 一週間後には、 「昨日歩いたから」 になります。 やがて、 「涼しくなったら始めよう」 となり、 涼しくなる頃には、 「寒くなってきたな」 となります。 人間とは実に都合のいい生き物です。
だから私は、歩くことそのものを目的にしない方が続くのではないかと思っています。 「あそこまで写真を撮りに行こう」 「このキャラクターの依頼を終わらせよう」 「あと1,000歩歩けば応募できる」 目的は何でもいい。 その結果として5,000歩、7,000歩歩いていればいいのです。
そして台風の日は624歩
そんな私も、昨日は624歩でした。 ウォーキングゲームを何本入れていても、台風には勝てません。 さすがに、 「あと1,000歩でポイントがもらえる」 と言われても、 暴風雨の中、 「ポイントが!」 と叫びながら電柱を撮りに行くほどの根性はありません。 そこまで行くと健康のためのウォーキングではなく、健康を害するウォーキングです。
ゲームはゲーム。 歩ける日に歩けばいい。 雨の日は休めばいい。 台風の日は624歩でもいい。 翌日、天気が回復したらまた外へ出ればいいのです。
年金生活になると、会社員時代のように強制的に外へ出る機会は減りました。 だからこそ、 「外へ出る小さな理由を、自分でいくつ持っているか」 これは案外、大事なのかもしれません。
スーパーへ買い物に行く。 コーヒーを飲みに行く。 自転車に乗る。 そして、 電柱を撮りに行く。
最後だけ少し変ですが、本人が楽しければいいのです。
今日の天気は、昨日よりかなり良さそうです。 スマホを持って、 腕章を着けて、 地味な作業服を着て、 また街へ出ようと思います。
知らない人から見れば、 何かの点検員。 実際には、 健康のために歩き回っている年金生活者。
そして今日の目標は、とりあえず昨日の624歩を超えること。 まあ、それなら玄関を出た時点で達成できそうです。


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