- その利回りを計算してみたら驚いた
個人年金の証書を引っ張り出してきた
昨日の個人年金の話で、実際の数字を確認するために、35年ほど前に加入した個人年金の証書を引っ張り出してきました。
今ではすっかりお世話になっている個人年金ですが、加入した当時は、
「本当に得なのかな?」
と思いながら契約した記憶があります。
せっかくなので、今回はその個人年金の利回りの実績を具体的に計算し、
- 本当に得だったのか?
- 今のNISAやiDeCoと比べてどうなのか?
- 若いうちからの資産形成はなぜ大切なのか?
について、一人のシニアの実体験として考えてみたいと思います。
加入したのは平成4年、33歳の時
私が個人年金に加入したのは平成4年(1992年)。今から35年ほど前のことです。
当時の私は33歳。結婚してちょうど1年後のことでした。
営業職として忙しく働いていましたが、老後のことなどほとんど考えていなかったと思います。そんな時に会社へやって来たのが、日本生命の「おばちゃん」です。
当時はどこの会社にも、保険会社の営業担当者が会社に自由に出入りしていましたよね。
鬼の営業部長よりも社員に目を光らせ、眼鏡の総務部長よりも社内の人間関係に詳しい。
昼休みになると、
「保険どう?」「個人年金入らへん?」
と声を掛けて回るのです。
私は保険に詳しいわけでもなく、
「まあ、結婚したし老後のために少しは積み立てておくか」
くらいの軽い気持ちで契約しました。
しかし今思えば、これが人生で数少ない「大成功の金融商品」の一つになったのです。
毎月の掛金は7,848円、総払込額は?
証書を確認すると、当時の契約内容は以下の通りでした。
- 毎月の保険料: 7,848円(ボーナス払いなし)
- 払込期間: 60歳まで(計27年間)
さっそくこの個人年金の利回りを計算してみます。
7,848円×12か月×27年 = 2,542,752円
総払込額は約254万円でした。
当時の私にとって、毎月約8,000円のお金は決して安くありません。
飲み会を何回か我慢しなければならない金額です。
しかし、「将来のための積立」と考えれば、無理のない絶妙な範囲だったのでしょう。
受け取る年金は総額720万円!
この個人年金は、65歳から受給が始まりました。
- 受取額: 年間72万円(月額にすると6万円)
- 受給期間: 10年間
総受給額を計算すると、こうなります。
72万円×10年 = 720万円
ここで単純計算をしてみましょう。
「254万円払って、720万円受け取る」。
倍率で言えば、なんと約2.8倍です。
もちろん、32年という長い期間(積立・据置)がありますから、単純な倍率だけで投資効率を比較はできません。しかし、この数字だけでもかなり立派だと思いませんか?
実際の個人年金の利回りを計算してみた
では、この個人年金は利回りは実際にどれくらいだったのでしょうか。
- 積立期間:27年
- 据置期間:5年(60歳〜65歳)
- 受給期間:10年間
この条件で、投資の世界で使われる「実質利回り(IRR・内部利益率)」を計算してみたところ、驚きの結果が出ました。
この利回りはおおよそ年率4%台半ばになります。
計算結果を見て、私は正直ひっくり返りそうになりました。なぜなら、今の時代「元本保証(かつ年金原資確定)の商品で年率4%台半ば」というのは、日本ではまず考えられない数字だからです。
怪しい投資話でもなかなかお目にかかれません。
平成初期は、今とは金利の世界が違った
若い人には信じられないかもしれませんが、私が加入した平成4年頃は、まだ高金利時代の名残がありました。
銀行の定期預金も今よりずっと高金利で、生命保険会社も高い利率で運用できた時代(いわゆるお宝保険の時代)です。
だからこそ、当時の個人年金は高い「予定利率」で設計されていました。
一方で、現在は長らく超低金利が続いています。
最近になって少し金利が上がってきたとはいえ、当時とは比較になりません。
そのため、現在販売されている円建ての個人年金は、昔ほど有利な数字にはならないのが現状です。
今のNISAと比べるとどうか
ここで気になるのが、「今のNISAと比べてどうなのか」という話です。
結論から言えば、「資産を増やす効率」だけを求めるなら、今のNISAの方が有利な可能性が高いと思います。
例えば、米国の代表的な株価指数(S&P500)の長期平均リターンは年率10%前後と言われています。
もちろん投資ですから保証はありません。大暴落して資産が半値になるリスクもあります。
しかし、20年、30年という長期的な「期待リターン」で見れば、個人年金を上回る可能性は十分にあります。
一方で、私の個人年金には以下のような絶対的な強みがあります。
- 元本と受取額が完全に保証されている
- 市場の暴落に怯える必要がない
- 口座から強制的に引き落とされるため、確実に貯まる
つまり、リスクを取って増やす「NISA」と、確実性を担保する「昔の個人年金」では、比較する対象が少し違うのです。
私が本当に得たもの
今回、長期の個人年金の利回りという面倒な計算をしてみて、深く感じたことがあります。
それは、「この個人年金という商品が優れていた」ということ以上に、「33歳という若さで積み立てを始めたこと」自体が最大の成功要因だったのではないか、ということです。
もしあの時、「まだ若いし、老後のことなんて先の話だから」と言って何もしなかったらどうなっていたでしょう。
おそらく私は、60歳を過ぎてから慌てて老後資金の計算を始めていたはずです。
しかし実際には、毎月7,848円という少額を27年間淡々と続けたことで、年間72万円の私的年金が生まれました。
現在のリタイア生活において、この「年間72万円」は決して小さくありません。
毎月の生活を確実に支えてくれる、大切な収入源になっています。
ニッセイのおばちゃんに感謝
改めて考えると、あの時、会社にやってきて強引に(笑)勧めてくれたニッセイのおばちゃんには感謝しかありません。

実は、当時の私のいたシステム開発会社では、私の知る限り、そのおばちゃんが取り持って結婚した先輩が2人もいました。
保険だけでなく、お嫁さんまで紹介してめでたくゴールインさせていたのです。
残念ながら私はその恩恵にはあずかれませんでしたが(おばちゃん、そこは紹介してくれなかったんかい!笑)。
それでも35年後の今、こうして「個人年金」という最高の形で恩返しを受け取っている気がします。
まとめ:若いうちから始めることが最大の武器
今回の計算で痛感したのは、金融商品の優劣よりも、「時間の力」のほうが圧倒的に強いということです。
私が33歳だった平成4年には、NISAもiDeCoもありませんでした。
「インデックス投資」という言葉すら、一般的なサラリーマンは誰も知りません。
それでも、「老後のために、とりあえず少額でも始める」という行動だけは起こせました。
現在の若い世代には、素晴らしい制度が整っています。
ネット証券があり、NISAがあり、iDeCoがあり、世界中に低コストで分散投資できるインデックスファンドがあります。
環境としては、私の時代より遥かに恵まれています。
だからこそ大切にしてほしいのは、「どの商品が一番得か」と悩みすぎるよりも、1年でも、1ヶ月でも早くスタートすること。
35年前の黄ばんだ証書を眺めながら、私はそんなことを改めて感じました。
そして、年間72万円の個人年金を受け取りながら、「あの時、おばちゃんを信じて契約しておいて本当に良かったな」としみじみ思うのでした。


コメント