65歳以上で「収入のある仕事をしたい」日本人が39%

- 本当に年金が足りないからなのか?

新聞を読んでいて、少し面白い調査結果を見つけました。

「65歳以上で今後も収入のある仕事をしたい」

と答えた人の割合です。

割合
日本39.0%
アメリカ24.3%
ドイツ19.8%
スウェーデン19.1%

なんと日本がトップ。

しかも2位のアメリカに対しても大差です。

この数字を見ると、

「やっぱり日本は年金が少ないんだ」

という意見が出てきそうです。

収入のある仕事をしたい高齢者

確かにそれも一理あります。

しかし、本当にそれだけでしょうか。

今回は年金生活者の視点から、この数字を少し考えてみたいと思います。

年金が足りないから働くのか?

まず最初に思いつくのはこれです。

日本では、

  • 国民年金中心の人
  • 厚生年金が少ない人
  • 単身高齢者

なども多くいます。

年金だけでは生活が厳しい人がいるのも事実です。

私自身は厚生年金ですが、それでも年金だけで全てを賄うのではなく、個人年金投資資産の取り崩しも組み合わせています。

現役時代と同じ生活水準を維持しようと思えば、年金だけでは不足する人も少なくありません。

その意味では、

「少しでも収入が欲しい」

という人が多いのは理解できます。

しかし、それだけで日本が39%、ドイツやスウェーデンが19%になるでしょうか。

私は少し違う気がします。

日本の高齢者は本当に貧しいのか?

よくニュースでは、

「高齢者は生活が苦しい」

という話が出ます。

もちろん苦しい人もいます。

しかし統計を見ると、高齢者世帯の金融資産は決して少なくありません。

むしろ日本では、

金融資産の多くを60代以上が保有しています。

高齢者世帯(65~74歳前後)の資産比較は、

資産中央値(ドル換算)
アメリカ約41万ドル
日本約18~25万ドル
ドイツ約12~18万ドル
スウェーデン約15~20万ドル

となります。

若い世代より、

  • 預金がある
  • 持ち家がある
  • 住宅ローンが終わっている

という人も多いでしょう。

私の周りを見ても、

年金だけでは少し不安と言いながら、

実際には何千万円もの預金を持っている人は珍しくありません。

つまり、

「お金が無いから働く」

だけでは説明できないのです。

若い世代の方が厳しいようにも見える

ここで少し意地悪な見方をしてみます。

もし本当に高齢者が貧しいなら、

若い世代はもっと大変なはずです。

  • 住宅ローン
  • 子育て
  • 教育費
  • 自動車ローン
  • 奨学金

などが重なり、給与そのものも高齢者より少ない場合が多いからです。

それなのに、若い世代の方がスマホを頻繁に買い替えたり、推し活や旅行を楽しんだり、サブスクを複数契約したりと、お金を使っているようにも見えます。

もちろん全員ではありません。

若者には若者なりの「将来が見えないからこそ、今を大切にしたい」という切実な心理もあるのでしょう。

しかし世代全体の傾向として、若い世代は「今を楽しむ」傾向が強く、高齢世代は「将来を心配する」傾向が強いように感じます。

日本人は「不安だから貯める」

私はここが大きいと思っています。

日本人は昔から貯蓄好きです。

欧米では、

「お金は使うためにある」

という考え方が比較的強い。

一方、日本では、

「何かあった時のために」

という考え方が根強いです。

そして高齢になるほど、その傾向は強くなります。

例えば、

年金が月15万円あって、

預金も2,000万円ある。

客観的に見れば、かなり余裕があるように見えます。

それでも、

「病気になったらどうしよう」

「介護が必要になったらどうしよう」

「長生きしたらどうしよう」

と考える。

すると、

使うよりも守る方向へ意識が向きます。

私も似たようなところがある

偉そうに書いていますが、実は私自身もそうです。

私のブログを読んでくださっている方はご存じだと思いますが、

私は現在、

  • 公的年金
  • 個人年金
  • S&P500の取り崩し

を組み合わせて生活しています。

本来なら、「年金があるから大丈夫」と考えても良いのかもしれません。

それでも、投資資産が減ると少し気になります。

将来の生活を考えてしまうのです。

つまり、今すぐ生活できなくなるわけではない。

しかし、資産を想定以上に減らしたくない。

だから、働けるなら働いてもいいかな。

そう考える。

この心理は、多くの高齢者にも共通しているのではないでしょうか。

「働きたい」ではなく「収入が欲しい」

今回の調査で面白いのは、

単に「働きたいですか?」ではなく、「収入を伴う仕事をしたいですか?」と聞いていることです。

ここが重要です。

もし質問が「社会とのつながりを持てれば、無収入(ボランティア)でもいいですか?」だったら、結果はかなり変わっていたはずです。

つまり、この39%という数字は、働くこと自体が生きがいというより、「収入がある状態(=資産が減らない状態)」を維持したい、

あるいは「稼ぐことで社会と対等につながっていたい」という心理を表しているようにも見えるのです。

日本人は資産を減らすことが苦手

私は投資をしていて、以前から感じていることがあります。

日本人は、資産を増やす話は好きです。

しかし、資産を使う話になると急に慎重になります。

例えば、

現役時代は一生懸命貯金します。

投資もします。

ところが老後になっても、なかなか取り崩せません。

本当は使うために貯めたお金なのに、減ることが怖い。

だから、

年金もある。

預金もある。

それでも、「少し働こうかな」となる。

これが日本の高齢者の特徴なのかもしれません。

私たちは「老後資金を使う訓練」をしていない

最近は学校でも投資について教えるようになってきたようですが、

考えてみると、私たちの年代は学校でお金の教育は受けませんでした。

それどころか、投資はギャンブル。という考え方も強かったです。

それが社会人になると、

  • 貯金しなさい。
  • 保険に入りなさい。
  • 老後に備えなさい。

 と言われます。

しかし、それでも老後資金をどう使うかは誰も教えてくれません。

だから、貯めるのは得意。

使うのは苦手。

そんな人が多いのではないでしょうか。

まとめ

65歳以上で「収入のある仕事をしたい」と答えた人は、日本が39%で4カ国中トップでした。

これを見て、「日本の年金はダメだ」と結論づけるのは少し早い気がします。

もちろん年金不足を感じている人もいます。

しかしそれ以上に、日本人には

  • 老後不安が強い
  • 資産を減らしたくない
  • 働くことを美徳と考える
  • お金を使うより貯める方が得意

という特徴があるように思います。

もしかするとこの39%という数字は、「日本の高齢者は貧しい」ではなく、

「日本の高齢者は慎重すぎるほど慎重」

という結果なのかもしれません。

そして面白いことに、高齢者が将来を心配してお金を貯め込み、

若い世代は将来を心配しながらも今を楽しむためにお金を使う。

同じ日本人なのに、

世代によってお金との付き合い方がずいぶん違うものだなと思うのです。

― 年金生活者の白日夢 ―
年金生活での投資と資産の取り崩しや年金、健康保険に関すること。
すべて実体験のお話です。

 

※本記事は筆者自身の経験や調査に基づいて作成しています。 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任において行ってください。
年金制度や健康保険制度、保険料・税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報については、年金事務所や自治体窓口等でご確認ください。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
※本記事は、67歳の年金生活者である筆者自身の体験や調査をもとに執筆しています。
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