遺族年金は5年で打ち切り?

- 将来の世代に迫る「空白の期間」を考える

遺族年金の制度改正が話題になっている

前回の記事では、「私が先に死んだら妻はいくらもらえるのか」を実際の年金額を使って計算してみました。

私の年金は年間約198万円。

妻は年間約125万円。

夫婦合計では約323万円です。

そして私が亡くなった場合、妻が受け取る年金は、調整後の試算で約171万円になるという結果になりました。

夫婦の年金収入は大きく減りますが、それでも遺族年金のおかげで生活が完全に立ち行かなくなるわけではないことも分かり、少し安心したものです。

ところが、その記事を書いている最中に気になるニュースが飛び込んできました。

「遺族年金、原則5年で打ち切りへ」

という衝撃的な見出しです。

えっ?

5年で終わるの?

それは大問題では……?

そう思って必死に調べ始めたのが今回の記事です。


最初に結論:私たち夫婦は対象外

まず結論から言うと、私たち夫婦にはほとんど影響がありません。

私は66歳。

妻も同年代です。

現在議論されている遺族年金の見直しは、主に現役世代を対象とした制度改正です。

そのため、すでに高齢期を迎えている私たちの世代は、改正後も現在の仕組みが維持される見込みです。

つまり、「来年から妻の遺族年金が5年で終わる」という話ではありません。

まずは一安心です。

しかし、だから関係ないとは思いませんでした。

なぜなら、私たちが現役時代に信じて保険料を払ってきた年金制度の考え方そのものが、大きく変わろうとしているからです。


そもそも何が変わるのか

現在の制度では、子どものいない妻であっても、夫を亡くした時点で30歳以上であれば、一定の条件のもとで遺族厚生年金を長期間受け取ることができます。

簡単に言えば、

「残された人生を支える生活保障」

という考え方です。

ところが今回の改正案では、現役世代を中心に、

「原則5年間の期限付き給付」

へ変更する方向で議論されています。

その代わり、最初の5年間の給付額は現行より増額される見込みです。

報道などでは、

約1.3倍程度

という説明も見かけます。

少し乱暴にまとめると、

これまでは

「金額は少し少なくても一生涯支える」

だったものが、

これからは

「最初は多めに払うから、その後は自立してほしい」

へ変わろうとしているわけです。


私たち夫婦の数字で考えてみる

ここで誤解のないように書いておきます。

以下は制度の違いを分かりやすく説明するための仮定です。

私たち夫婦と同じ年金水準になる将来の年金受給者がいたと仮定して考えてみます。

前回の記事で計算したように、私が亡くなった後、妻が受け取る年金は約171万円でした。

仮に今回の制度改正で給付額が1.3倍になるとすると、

約222万円になります。

ここだけ見ると、

「おお、増えるじゃないか」

と思います。

実際、171万円より222万円の方が助かります。

しかし問題はその先です。


一生171万円と5年間だけ222万円

今回調べていて、私が一番考えさせられたのはここでした。

現在の制度なら、

年間171万円がずっと続く。

改正後なら、

年間222万円が5年間続く。

数字だけ見れば、最初の5年間は改正後の方が有利です。

しかし、6年目はどうでしょう。

7年目は?

10年後は?

遺族年金制度改正で悩む

ここで私は、あるモデルケースを想像してみました。

例えば45歳で配偶者を亡くした人がいるとします。

現在の制度なら、その後も長期間にわたり遺族年金という支えがあります。

ところが改正後は、5年後の50歳で遺族年金の給付が終了します。

もちろん本人が働いて収入を得ることもできます。

将来は自分自身の老齢年金もあります。

しかし問題は、

50歳から65歳までの15年間

です。

この期間には老齢年金はまだありません。

一方で、遺族年金も終了しています。

私はここに大きな不安を感じました。


本当の問題は「空白の15年」

年金生活を実際に経験している身からすると、この15年間という期間は非常に長く感じます。

国は、

「働いて自立を」

と言います。

確かに理屈としては理解できます。

しかし、40代や50代で突然配偶者を失い、精神的にも大きなショックを受けた状態で、それまで通りの収入を維持しながら老後資金まで準備するのは簡単ではありません。

若い頃の私なら、

「最初の5年間で多くもらえる方が得だ」

と考えたかもしれません。

しかし67歳になった今は違います。

残される側の立場を考えると、

多いか少ないかより、

「困ったときに支えが続くかどうか」

の方が大切に思えるのです。


国の考え方も理解できる

もちろん国にも事情があります。

少子高齢化。

現役世代の減少。

年金財政への負担。

また今回の改正には、

「夫を亡くした妻は受給できるのに、妻を亡くした夫は受給しにくい」

という男女差の解消という目的もあります。

その意味では、単純な改悪とは言えません。

むしろ時代の変化に対応しようとしている面もあります。

私も43年間厚生年金保険料を払い続けてきた立場です。

制度を維持するためには、何らかの見直しが必要なことも理解できます。


年金生活者として思うこと

それでも、実際に自分たちの数字を使って考えてみると複雑な気持ちになります。

私たち夫婦は今回の改正の対象外でした。

しかし、自分たちの子ども世代や孫世代が同じ立場になったと考えると、決して他人事ではありません。

私は長い間、

「厚生年金は困った時に最後まで支えてくれる保険」

だと思っていました。

ところが今回調べてみると、

どうやらこれからの時代は、

「最後まで支える保険」

から

「再出発を支援する保険」

へ変わろうとしているようです。

昔と違い、女性も働く時代になりました。

その前提で制度を見直すこと自体は理解できます。

しかし年金生活者になった今の私には、

「多くもらえること」

よりも

「長く続くこと」

の方がありがたく感じられます。

若い頃には見えなかった感覚です。


皆さんはどう思いますか?

この遺族年金の見直しは、まだ議論の途中です。

2028年の実施に向けて、これから細かな内容が変わる可能性もあります。

私としては引き続き注目していきたいと思っています。

そこで最後に皆さんへ質問です。

もし選べるとしたら、

年間171万円を一生受け取る

のと、

年間222万円を5年間だけ受け取る

のと、

どちらに安心を感じますか?

年金生活者になった今の私は、迷わず前者を選ぶと思います。

※本記事は、筆者自身の経験や調査に基づく情報提供を目的として作成しています。
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 本記事は、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
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