- 私の年金・個人年金・国保税から限度額を計算し、安全な寄付額を考えます
年金生活者でもふるさと納税はできる
現役の頃は、何回かふるさと納税を利用しました。
だいたいは北海道の冷凍ホタテです。
冷凍庫を開けると、そこには白く輝くホタテ。
「今年もよく働いたな」
と、北海道の海から褒められているような気分になったものです。
もちろん、返礼品の中には日本酒などのアルコール類もありました。
純米吟醸、大吟醸、蔵元直送、限定品。
こういう文字は、私のような人間には非常に危険です。
画面を見ているだけで、頭の中ではもう冷酒用のグラスが出てきます。
しかし、我が家には強力な審査機関があります。
妻です。
ホタテは通ります。
米も通ります。
肉も、たぶん通ります。
しかし日本酒は、なかなか通りません。
理由は簡単です。
「それ、生活に必要なの?」
この一言で終わりです。
私としては、日本酒も心の生活必需品だと主張したいところですが、家庭内裁判ではなかなか認められません。
定年後にふと思ったこと
定年後2年たって、ふと思いました。
公的年金と個人年金、それとNISAの取り崩しで生活している私たち夫婦は、そもそもふるさと納税を利用できるのでしょうか。
現役時代は簡単でした。
会社から給料をもらい、源泉徴収票が届き、年末調整がありました。
ふるさと納税サイトのシミュレーションにも、給与収入を入れれば、だいたいの限度額が出てきました。
ところが年金生活者になると、いきなり入口でつまずきます。
以前に利用していたふるさと納税のサイトを見ると、計算欄の最初に出てくるのは、
「給与収入を入力してください」
です。
ありません。
もう給与はありません。
次に、
「個人事業主・副業がある場合は所得金額を入力してください」
と出てきます。
いや、ありません。
シミュレーション画面はなかなか年金生活者に優しくありません。
まるで、
「働かざる者、ふるさと納税するべからず」
と言われているようです。
いやいや、年金生活者だって税金は払っています。
住民税もあります。
国民健康保険税もあります。
介護保険料もあります。
7月になると、郵便受けには役所からの封筒が次々と届きます。
年賀状より税金関係の郵便物の方が多いのではないかと思うくらいです。
純米吟醸への道は険しい
それなのに、ふるさと納税サイトでは、年金生活者はなぜか迷子になります。
そこで、ふるさと納税で純米吟醸酒を手に入れられないかと思い、いろいろ調べてみました。
目的が少し不純です。
「年金生活者でもふるさと納税はできるのか」
という社会的なテーマの裏側に、
「純米吟醸を家庭内監査に通せるのか」
という個人的なテーマが隠れています。
やっと見つけたサイトでは、給与収入ではなく、確定申告の金額を入力できるようになっていました。
これは助かります。
しかし、そこにも問題があります。
今あるのは、昨年分の確定申告です。
今年分の確定申告は、今年が終わらないと分かりません。
考えてみれば、これはサラリーマン時代も同じでした。
冬のボーナスをもらうまで、正確な年収は分かりません。
それなのに、ふるさと納税は年内に寄付しなければなりません。
最終スコアが出る前に、勝ち負けを予想して動くようなものです。
限度額ギリギリまで攻める人もいるでしょうが、私はそこまで勇敢ではありません。
特に今は、ボーナスのない年金生活者です。
6月の年金額改定通知が届けば、その後に突然年金が大幅アップするという、夢のような展開はありません。
残念ながら、郵便受けに届くのは「年金が増えました」という宝くじのような通知ではなく、国民健康保険税や介護保険料の通知です。
嬉しい封筒は来ません。
来るのは、支払いの封筒です。
まずは収入を整理する
それでは、実際に計算してみます。
まず、夫婦の公的年金と、私の個人年金は以前のブログでも公表しています。
6月以降の私の公的年金は、年約200万円。
妻の年金は、年約120万円。
私の個人年金は、年約70万円です。
そしてNISAの取り崩しがあります。
ただし、NISAは非課税制度です。
金融庁も、NISA口座内の運用益、つまり売却益や配当・分配金は非課税と説明しています。
そのため、NISAの取り崩し分は、ふるさと納税の限度額を計算する時の収入には基本的に入れません。
これはありがたい話です。
NISAは、年金生活者にとって生活費の補助輪のようなものです。
若い頃なら補助輪など恥ずかしいと思ったかもしれません。
しかし66歳になると、補助輪は立派な安全装置です。
むしろ補助輪に拍手したいくらいです。
ただし、ふるさと納税の計算にNISAまで入れてしまうと、実際より多く寄付できるように見えてしまいます。
これは危険です。
| 項目 | 金額 | ふるさと納税計算での扱い |
|---|---|---|
| 私の公的年金 | 約200万円 | 公的年金等控除後に所得として計算 |
| 妻の年金 | 約120万円 | 妻の収入なので、私の寄付限度額には含めない |
| 私の個人年金 | 約70万円 | 払込保険料相当分を差し引いて雑所得として計算 |
| NISA取り崩し | 生活費として使用 | 非課税のため、限度額計算には含めない |
ここで大事なのは、妻の年金を私のふるさと納税の計算に入れないことです。
ふるさと納税は、寄付した本人の所得税・住民税から控除される制度です。
つまり、私が寄付するなら、私自身の所得と税金で考える必要があります。
夫婦合算で考えると、つい多く寄付できそうに見えますが、そこは家庭の財布と税金の財布は別物です。
妻の年金まで勝手に私の計算に入れたら、税務上も家庭内でも怒られそうです。
次に、私の所得をざっくり計算します。
画面上では「まだ行けます」と言われても、翌年の住民税通知を見て青ざめる可能性があります。
税金の世界では、調子に乗った者から順番に痛い目にあいます。
私の公的年金収入は約200万円です。
公的年金は、そのまま全額が所得になるわけではありません。
65歳以上の場合、公的年金等控除があります。
ざっくり見ると、公的年金200万円から控除を引いた所得は、約90万円になります。
次に個人年金です。
私の個人年金は年約70万円ですが、これも全額が所得になるわけではありません。
昔、自分で支払った保険料部分は必要経費として差し引きます。
私の場合、以前の計算では、払込総額が約254万円。
受取総額は約720万円です。
その割合から見ると、個人年金70万円のうち、課税対象になる所得はおおむね45万円前後になります。
| 所得の種類 | 収入金額 | 控除・必要経費 | 所得金額 |
|---|---|---|---|
| 公的年金 | 約200万円 | 公的年金等控除 約110万円 | 約90万円 |
| 個人年金 | 約70万円 | 払込保険料相当分 約25万円 | 約45万円 |
| 合計 | – | – | 約135万円 |
すると、私の所得はこうなります。
公的年金の所得が約90万円。
個人年金の所得が約45万円。
合計で約135万円です。
ここまでは、まだ何とか理解できます。
| 公的年金の所得 | 約90万円 |
|---|---|
| 個人年金の所得 | 約45万円 |
| 所得合計 | 約135万円 |
しかし、ここから先は税金用語が増えてきます。
ここから、住民税を計算するための控除を差し引きます。
基礎控除。
配偶者控除。
社会保険料控除。
所得割。
特例控除。
このあたりから、急に老眼鏡の度数が合わなくなったような気がしてきます。
画面を見ているだけで、肩がこります。
でも、ここで逃げると、ホタテも純米吟醸も遠のきます。
今年の国民健康保険税が決まった
これまで数字が締まらなかった一番の理由は、今年度の国民健康保険税が分からなかったことです。
年金生活者にとって、国民健康保険税はかなり大きな支出です。
現役時代は会社の健康保険。そこから任意継続していましたが、今年4月には国民健康保険に変わりました。
そして今年度、私の国民健康保険税は19万円と決まりました。
通知書を見た時の感想は、
「やっぱり来たか」
です。
招待状ではありません。
納税通知書です。
しかも、こちらからお願いしていないのに、毎年きちんと届きます。
役所の郵便物だけは、実に正確です。
この国民健康保険税19万円に加えて、私の介護保険料は約9万9,000円です。
合計すると、社会保険料控除として使える金額は、約28万9,000円になります。
この金額が分かると、ふるさと納税の限度額もかなり現実的に見えてきます。
| 控除項目 | 金額 |
|---|---|
| 基礎控除 | 43万円 |
| 配偶者控除 | 33万円 |
| 国民健康保険税 | 19万円 |
| 介護保険料 | 約9.9万円 |
| 控除合計 | 約104.9万円 |
住民税の所得割を計算する
私の所得は約135万円。
ここから、住民税側の控除を引きます。
基礎控除が43万円。
配偶者控除が33万円。
社会保険料控除が約28万9,000円。
合計すると、約104万9,000円です。
つまり、税金(住民税)の計算対象となる「課税所得」は、
135万円から104万9,000円を引いて、約30万円になります。
| 計算内容 | 金額 |
|---|---|
| 所得合計 | 約135万円 |
| 控除合計 | 約104.9万円 |
| 住民税の課税対象額 | 約30万円 |
住民税の所得割は、この課税所得に対してざっくり10%かかります。
ということは、住民税の所得割額は約3万円になります。
ふるさと納税で一番大切なのは、この「住民税の所得割額(約3万円)」です。
ふるさと納税は、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から控除される制度です。
ただし、無限に控除されるわけではありません。
住民税の特例控除には、「所得割額の20%」という上限があります。
ここが重要です。
住民税所得割が約3万円なら、その20%は約6,000円です。
今年の私のふるさと納税額
| 計算内容 | 金額 |
|---|---|
| 住民税所得割額 | 約3万円 |
| 特例控除の上限 | 約20% |
| 特例控除の目安 | 約6,000円 |
これに所得税分や住民税の基本分などを合わせて逆算すると、自己負担2,000円で済む寄付額は、おおむね8,000円から9,000円前後になります。
| 寄付額 | 判断 | コメント |
|---|---|---|
| 8,000円 | 安全圏 | かなり安心して寄付できそうな金額 |
| 9,000円 | やや攻める | 計算上はこのあたりまで可能性あり |
| 1万円 | ギリギリ | 大事故ではなさそうだが、安全運転なら避けたい |
現役時代の感覚なら、
「えっ、それだけ?」
と思うかもしれません。
私も思いました。

ホタテを大量に頼むほどの金額ではありません。
冷凍庫を北海道にする計画は、ここで終了です。
では、今年の私のふるさと納税額はいくらにするのか。
計算上は、8,000円から9,000円前後が目安です。
かなりギリギリまで攻めれば、1万円も大事故にはならないかもしれません。
しかし、年金生活者のふるさと納税で大事なのは、限度額ギリギリを攻めないことです。
現役時代なら、少しぐらい読み違えても、翌年の給与で何となく吸収できました。
しかし今は年金生活です。
税金の計算でアクセルを踏みすぎると、翌年の住民税通知書を見た時に心臓に悪いです。
医療費控除で病院代を計算する前に、ふるさと納税で心拍数を上げてどうするのか、という話です。
ということで、今年の私のふるさと納税は、安全運転で8,000円にします。
攻めても1万円まで。
車でいえば、アイサイトを効かせて、車間距離を十分に取る運転です。
「まだ行ける」
と思っても、年金生活者は急加速してはいけません。
ふるさと納税も、老後の運転も、基本は安全第一です。
8,000円で何を選ぶか
さて、問題はここからです。
8,000円で何を選ぶか。
ホタテか。
米か。
干物か。
肉か。
それとも純米吟醸か。
制度上の計算は終わりました。
ここから先は家庭内交渉です。
私としては、純米吟醸に心が動きます。
「これは地域産業の応援である」
「日本の伝統文化を守る行為である」
「米どころへの支援である」
「つまり、社会貢献である」
ここまで理論武装しても、妻からは一言で終わる可能性があります。
「飲みたいだけでしょ」
はい。
その通りです。
反論できません。
そう考えると、やはり無難なのはホタテでしょうか。
ホタテなら食卓が豊かになります。
妻も喜びます。
私も喜びます。
日本酒ほど怒られません。
家庭平和という意味では、ホタテの控除効果はかなり高いです。
年金生活者でもふるさと納税はできる
今回計算して分かったのは、年金生活者でもふるさと納税はできるということです。
ただし、現役時代と同じ感覚では使えません。
給与収入ではなく、公的年金。
給与所得控除ではなく、公的年金等控除。
個人年金は、支払った保険料部分を差し引いた雑所得。
NISAの取り崩しは非課税なので、限度額計算には入れない。
そして国民健康保険税や介護保険料などの社会保険料控除を入れて、住民税の所得割額を見る。
ここまで来て、ようやく自分の限度額が見えてきます。
私の場合、今年度の国民健康保険税が19万円と決まったことで、ようやく数字が締まりました。
結論は、安全運転で8,000円。
攻めても1万円まで。
現役時代のように、冷凍庫にホタテを何袋も入れるふるさと納税ではありません。
年金生活者らしく、控えめに、慎重に、それでも少し楽しむ。
これくらいがちょうど良いのだと思います。
ふるさと納税は、税金の行き先を少しだけ自分で選べる制度です。
そして返礼品で、食卓が少し楽しくなる制度です。
年金生活者になったからといって、まったく使えないわけではありません。
ただし、アクセル全開ではなく、ブレーキに足を置きながら使う。
それが、年金生活者のふるさと納税です。
さて、今年は何を選びましょうか。
ホタテか。
米か。
それとも、家庭内監査役の目をかいくぐって純米吟醸か。
ここから先は、税金の問題ではありません。
夫婦関係の問題です。
そしてたぶん、税務署より妻の方が厳しいのです。


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