狭い庭で陣地取りは続く

植えた草木は育たず

我が家には、猫の額どころか、よく見ないと見失うほどの「ネズミの額サイズ」の庭がある。

「庭」と言うと聞こえはいいが、実際は隣家との距離が近すぎて、太陽が顔を出す時間は一日数十分。まるで日照権を分単位で管理されているかのようだ。

そんな環境なので、意気込んで植えた草木はことごとく元気がない。

いや、正確に言うと「人間が植えた草木」だけが元気を失い、「勝手に生えてきた草」だけが、なぜか勢いよく育つ。

雑草という名の植物たちは、「ここは俺たちの領土だ」

とでも言わんばかりに、堂々と根を張り、葉を広げ、毎年選挙に勝ち続けている。

引っ越してきて三年余り。

今年こそは、可憐な草花が風に揺れる、美しい庭にしたい。

そのためには、今の季節の準備が肝心だ、とネットと園芸本は口を揃えて言う

人はなぜ春を夢見て、真冬に無謀なことを始めるのだろう。

掘って、篩って(ふるって)

まずは、今なお権力を握っている雑草政権を引きずり下ろす。

根が深い。しぶとい。なかなか辞任しない。

スコップで土を掘り返し、篩(ふるい)にかけて小石を取り除き、石灰を混ぜて戻す。

庭の手入れ

理屈は簡単だが、体は正直だ。

「うううう……腰が……」

ネズミの額の半分が終わったところで、国会ならぬ我が家の庭は閉会となった。

スコップを杖代わりに立ち上がり、心の中でつぶやく。

「今日は、このへんで勘弁してやる」

予定は未定

やり残した残り半分は、腰の調子が戻ってから。

湿布を貼りながら、

「来週末には終わらせよう」と、極めて前向きな発言をする。

ただし、予定は未定だ。

春になれば、狭い庭の半分だけに申し訳程度の花が咲き、残り半分は全面雑草――そんな未来予想図が、妙にリアルに浮かんでくる。

自然は待ってくれないが、腰は待たないと動かない。

不穏な世界

ふと顔を上げると、世界もまた、ちっぽけな生き物たちが陣地取りに忙しい。

ヨーロッパでは、かつて同胞だった国同士が争い続けて来月でまる四年。

中東では、無理な理屈で作られた国が、周囲を巻き込みながら火を広げている。

西側では、「世界の警察」を名乗りつつ、油やレアアースが欲しくて他国を管理したり、領土を買おうとしたり。

45億年の歴史を持つ地球から見れば、人類の争いなど、庭の雑草同士の小競り合いのようなものかもしれない。

それでも、たった100年前の世界大戦の過ちを、もう忘れてしまったかのようだ。

その昔、油が欲しくて太平洋を渡り、結果として敗戦国になった我が国。

あの時と同じ過ちを繰り返しませんように。

まずは、我が家の庭からでも、無駄な争いを減らしたい。

雑草との戦いは続きますが、せめて人間同士は、少しは賢くありたいものだ。

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