- 私は日経平均ではなくスーパーの値札を見ている
日経平均株価は7万円の大台で政策金利は1%
2026年、日経平均株価はついに7万円の大台にタッチしました。 ニュースでは、 「史上最高値更新」 「日本経済復活」 「賃上げの好循環」 と明るい話題が並びます。
一方で日銀は、マイナス金利を脱したあと、政策金利を1%程度まで引き上げる方向へ進んでいます。
普通に考えれば、 金利も上がる。 株価も上がる。 景気も良い。 ならば私たちの生活も楽になるはずです。
ところが、年金生活者の私はあまり豊かになった実感がありません。 なぜでしょうか。
私が毎日見ているのは日経平均ではない
私はS&P500(米国株)に投資して、それを2か月に1回取り崩しています。
投資をしていなければ、今の資産状況はもっと厳しかったでしょう。
ですから株価上昇そのものは歓迎です。
しかし、退職後に気付いたことがあります。
現役時代は、証券口座の画面を見ていました。 今は、スーパーの値札を見ています。
お米。 パン。 卵。 牛乳。 電気代。 ガソリン代。
こちらの方が、日経平均の数字よりもよっぽど重要です。
資産の数字は増えても、米の値段も上がっている
私は、S&P500が上がれば嬉しい。 しかも、円安になればなるほど、ドル建て資産の円換算額は驚くほど膨らんでいきます。
しかし、生活者としての私は、この円安に頭を悩ませています。
なぜなら、日本は世界有数の輸入大国だからです。
原油も、天然ガスも、小麦も、家畜の飼料も、海外から買っています。
円安が進むと、 ガソリンが上がる。 物流費が上がる。 電気代が上がる。 そしてスーパーの商品も、次々と値上げされる。
いくら証券口座の評価額が増えても、日々の生活費がそれを上回る勢いで削られていく。
これでは「資産は増えたのに、生活はちっとも楽にならない」という奇妙な逆転現象が起きるのも当然です。
日経平均7万円を支えているのは誰か
ここで、経済の少し皮肉な話をします。 これほどの日経平均高騰を演出しているのは、一体誰でしょう。
実は、私たち日本人ではありません。 外国人投資家です。
東京証券取引所の売買代金を見ると、その6割以上を海外の投資家が占めています。
彼らは、日本企業の利益成長だけでなく、ある「ボーナス」を評価して日本株を買っています。
それが円安です。
外国人投資家から見れば、円安になればなるほど、日本株が「バーゲンセール」のように割安に見えます。
さらに、日本の輸出企業や商社は、円安によって円建ての利益が大きく膨らみます。
つまり、年金生活者が苦しんでいる「円安」そのものが、外国人投資家を呼び込み、日経平均7万円を支える強力なエンジンになってしまっているのです。
金利を1%に上げたのに、なぜ円安が止まらないのか?
「円安が原因なら、日銀がもっと金利を3%、4%と一気に上げればいいじゃないか」
そう思うかもしれません。
一般的に「金利を上げれば通貨(円)の価値は上がる」のが経済の基本だからです。
実際、日銀は金利を1%程度まで上げました。なのに、なぜ矛盾するように円安が続いているのか。
理由は、海外との「金利の差」がまだ大きすぎるからです。
アメリカやヨーロッパの金利が4%〜5%台を維持している中で、日本がようやく1%に上げたところで、
世界のお金から見れば「まだまだドルやユーロで持っていた方が得だ」となってしまいます。
利上げの歩みが遅すぎるのです。
では、なぜ日銀はもっと大胆に利上げできないのでしょうか。
最大の足かせは、膨大な「国の借金(国債)」です。
もし日銀が急激な利上げに踏み切れば、国が毎年支払わなければならない国債の「利払い費」が爆発的に急増し、国家財政が身動き取れなくなってしまいます。
金利を上げれば円安は止まるかもしれない。
しかし、国の財政に致命的なダメージを与えるかもしれない。
だから日銀は、1%という「超スローペース」な利上げしかできない。
これが、円安を止めたくても止められない舞台裏です。
株価と生活実感のズレ
だから最近のニュースを見ていると、少し不思議な気持ちになります。
日経平均7万円。 史上最高値。 日本経済復活。
確かに数字は素晴らしい。
しかし私が見ているのは、証券会社の画面ではなく、スーパーの値札です。

年金改定で多少支給額が増えたとしても、食料品や電気代の上昇で簡単に相殺されてしまいます。
本当に必要なのは、株価の数字ではなく、生活水準の向上です。
賃金が上がり、それに伴って年金も実質的に増える。
そして円の価値が安定し、海外の先進国と対等に渡り合える所得水準になる。
そうなって初めて、私たちは本当の意味で「日本経済が復活した」と言えるのではないでしょうか。
今日も私は、日経平均7万円のニュースを横目に、スーパーでお米の値段を確認するのでした。


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