年金200万円と給与200万円。大根の値段は同じなのに、給付金は別扱い?

- 所得連動型給付について

政府が新しい給付金を考えているらしい

政府が「所得に連動したきめ細かな給付」という、新しい給付制度を検討しているそうです。

最近は何でも値上がりですね。

食料品、電気、ガス、ガソリン……。年金生活者にとって、うれしくないニュースばかりが続いています。

そんな中、政府が中低所得者の生活を支援するため、所得に応じて給付金を支給する仕組みを考えていると聞きました。

「おお! それはありがたい」

年金生活者の私も、ひょっとして対象になるのでしょうか。

何しろ、私の年金は年間約200万円。

所得税も住民税も払っていますし、国民健康保険料も介護保険料も、きっちり徴収されています。

先日など、年金から国民健康保険料が天引きされるようになり、振込額が大きく減ってしまったばかりです。

「給付金で少しは取り戻せるのか?」

期待を込めて調べてみました。

ところが……。

2027年度から始まり、2029年度に本格導入

政府が進めている制度は、正式には「就業者負担軽減支援金」というものです。

大まかなスケジュールは次のようになっています。

時期主な内容
2027年4月飲食料品の消費税率を8%から1%へ、2年間引き下げる予定
2027年度所得に応じた給付を先行導入
2029年度所得連動型給付を本格導入
2030年まで働いていない高齢者への対応方針について結論を出す

2027年度からの先行給付は、年間約6,000億円規模とされています。

本格導入までのつなぎとして、食料品の消費税引下げと組み合わせ、家計負担を軽くしようというものです。

2026年10月9日には関連法案も国会に提出されました。

ただし、具体的な給付額や対象範囲など、まだ決まっていないこともあります。

それでも「来年度から始めよう」という話です。

さて、私にも給付されるのでしょうか?

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年金生活者は、どうやら対象外らしい

調べてみると、この制度の中心となるのは「中低所得の現役勤労者」だそうです。

つまり、働いて収入を得ている人を支援する制度なのです。

大まかに整理すると、次のようになります。

対象者現在の方向性
中低所得の会社員給付対象として想定
中低所得の自営業者条件を満たせば対象
働きながら年金を受給する人就業収入などの条件による
年金だけで暮らす高齢者今回の給付制度では原則対象外

えっ?

私のように、年金だけで生活している人は対象外?

政府は、働いていない高齢者について「既存の年金制度などとの関係を整理し、2030年までに対応方針の結論を出す」と説明しています。

ちょっと待ってください。

働いている人には2027年度から給付を始め、2029年度には本格導入。

一方、年金生活者については「2030年までに結論を出す」?

「結論」ですよ。「給付を始める」ではありません。

それから制度を決め、必要なら法律を作り、実施するという話になるのでしょう。

その頃、私は71歳。いや、もう72歳が近い。

年金生活者は、給付金が来る前に干からびてしまいますよ。

もっとも、政府にも考えはあるのでしょう。

高齢者には年金制度があり、低年金の人には「年金生活者支援給付金」という仕組みもあります。

ただ、現在の「老齢年金生活者支援給付金」は、世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入なども一定額以下でなければ対象になりません。

私の年金額では、こちらも対象外です。

結局、どちらの給付金にも縁がないということになりそうです。

年金200万円と給与200万円。大根の値段は違うのか?

ここで、どうしても疑問が湧いてきます。

仮に「年間200万円の給与を受け取っている人」と、「年間200万円の年金を受け取っている人」がいたとします。

もちろん、給与と年金では税金の計算方法も社会保険料も違います。そのため、額面が同じ200万円でも、手取りが同じになるとは限りません。それは理解しています。

しかし、スーパーに行ってみてください。

  • 年金生活者が買う大根:200円
  • 給与をもらっている人が買う大根:250円

……そんなことにはなりませんよね。

大根は誰が買っても同じ値段です。卵も牛乳もお米も同じ。

電気代だって、年金生活者だから安くしてくれるわけではありません。

むしろ、一日中家にいる年金生活者は、冷暖房費が余計にかかることもあるでしょう。

生活費が上昇して困っているのは、現役世代も年金生活者も同じなのです。

もちろん、子育て世帯には教育費などの負担があります。働く人には、働く人なりの負担があります。そのことを否定するつもりはありません。

しかし、同じように生活が苦しくなっている人を「収入の入り口」だけで区別するのはどうなのでしょうか。

本来、生活支援を考えるのであれば、給与か年金かという区別だけではなく、税金や社会保険料を差し引いた後、実際に使えるお金がいくらあるのか。つまり、「可処分所得」を基準に考えるべきではないでしょうか。

私は、年金生活者全員に給付金を配れと言っているわけではありません。高額な年金を受け取っている人まで一律に支援する必要があるとは思いません。

ただ、生活水準が同じような人を「現役か高齢者か」という理由だけで、何年も違う扱いにするのは、どうも納得できないのです。

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制度が違っても、開始時期は合わせられないのか

政府が、現役世代と年金生活者に別々の制度を用意する。それ自体は構いません。

社会保険料の仕組みも違えば、年金の仕組みも違います。制度を分けた方が合理的な場合もあるでしょう。

しかし、「制度が違うこと」と「支援を始める時期が違うこと」は別問題ではないでしょうか。

現役世代への給付を2027年度から始めるのであれば、支援が必要な年金生活者についても、同じ時期に対応できる方法を考える。そういう発想があってもよいと思うのです。

そもそも、今回の給付は「物価高による生活負担の軽減」が目的の一つです。

物価高は2027年に始まって、2030年まで高齢者の家だけを避けて通ってくれるのでしょうか?

そんな都合のよい物価高なら、ぜひ我が家の住所を教えておきたいものです。

制度の完成に時間がかかるなら、それまでの間にできることを考える。

少なくとも、支援の必要性を判断する時期まで何年もずらす必要があるのか、説明していただきたいものです。

ところで、その給付金の財源はどこから?

もう一つ、気になることがあります。お金の話です。

政府は、2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を8%から1%に引き下げる方針です。さらに、所得に応じた給付金も支給しようとしています。

食料品の消費税を減らせば、当然、国の税収は減ります。そして給付金を配れば、新たな支出が増えます。

では、そのお金はどこから出てくるのでしょうか。

政府は「赤字国債(正確には特例公債)には頼らず、補助金や税制優遇の見直し、歳出・歳入全般の見直しによって財源を確保する」と説明しています。

なるほど。説明としては立派です。

しかし……

  • どの補助金を、いくら減らすのか?
  • どの税制優遇を、どの程度見直すのか?
  • それによって何兆円確保できるのか?

肝心の具体策が、まだ十分に見えてきません。

野村総合研究所の2026年10月7日の分析でも、給付の対象範囲や給付額、財源の詳細が定まっていないことが指摘されています。

国民に必要なのは「財源を確保する方針です」という説明だけではありません。

「何にいくら使い、そのお金をどこから持ってくるのか」をセットで示してほしいのです。

国のお財布は、打ち出の小槌なのか?

一方で、国の支出が増える話は次々と出てきます。

防衛費の増額もあります。

2027年度の予算概算要求では、内閣広報室の経費として約72億円が盛り込まれました。前年度予算の約7億円と比べれば、10倍を超える要求額です。

もちろん、これはまだ要求段階で、実際に72億円の予算が成立したわけではありません。
予算が10倍になるほど何をするのか、その効果はどう測るのか。そこは丁寧に説明していただきたいものです。

防衛費も広報費も、必要なものにはお金を使うべきでしょう。

ただし、「必要」と言えば何でも予算が増えるのであれば、国のお財布は打ち出の小槌になってしまいます。

あれも必要、これも必要。新しい政策を打ち出すたびに、お金が必要です。

それなら、優先順位をどう決めるのか。何かを増やす代わりに、何を減らすのか。国民が納得できる説明が必要だと思います。

まさか、給付金の財源を確保するために「与党に都合の悪い自治体の道路整備予算をカットする」などということがあっては困ります。だからこそ、予算配分の基準や判断過程を透明にしてほしいのです。

私たちの暮らしなら、収入が足りなければ支出を減らします。欲しい物があっても、お金がなければ買いません。「欲しいものを全部買って、足りない分は子どもに借金を払わせよう」などという家計は長続きしないでしょう。

国の財政を家計とまったく同じように考えることはできません。

それでも、使うお金と、その裏付けとなる財源を説明する責任は変わらないと思います。

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給付金より先に、説明してほしいことがある

私は、所得連動型給付そのものに反対しているわけではありません。

物価高で生活が苦しくなっている人に支援することは必要だと思います。

ただし、その制度を作るのであれば、三つのことを明確にしてほしいのです。

  1. 公平性:給与所得者と年金生活者で制度が違っても、生活実態に応じた公平な支援になるのか。
  2. 実施時期:現役世代には来年度から支援し、高齢者については何年も先に結論を出す。それでよいのか。
  3. 財源:年間いくら必要で、そのお金をどこから確保するのか。

政策を発表するのであれば、給付額と同時に財源も明らかにしてほしいと思います。

所得連動型給付制度についての意見

国民にお金を配るという政策は、聞いていて気持ちのよいものです。

しかし、そのお金は政治家が自分の財布から出してくれるわけではありません。国民が負担する税金であり、将来の負担にも関係するお金です。

私も年金生活者ですから、給付金がもらえるならありがたい。そりゃ、いただけるものならいただきます。

しかし、それ以上に「これからの日本の財政がどうなるのか」も気になります。

給付金を配るという話ばかりが先行し、財源は後から考える。そんなことを繰り返していて、本当に大丈夫なのでしょうか。

あれもしたい、これもしたい。気持ちは分かります。

でも、お金がないなら、ないなりの予算を組むことも必要でしょう。

政府には、立派な政策の設計図だけではなく、それを実現できる確かな財源まで示していただきたい。

何しろ、絵に描いた餅は、何枚あっても食べられません。

ましてや、餅の材料である「もち米」を誰が買うのかさえ決まっていないのでは……。

国民のお腹は、いつまでたっても膨れないのです。

※本記事は、筆者自身の経験や調査に基づく情報提供を目的として作成しています。
 投資には価格変動などのリスクがあり、元本割れとなる可能性があります。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
 年金制度、健康保険制度、保険料、税金等の取り扱いは、法改正やお住まいの自治体、年齢、所得、家族構成などによって異なる場合があります。最新の情報は、年金事務所、自治体、税務署等の窓口でご確認ください。
 本記事は、投資助言、税務相談、保険加入等を推奨するものではありません。
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