住宅価格高騰と全国の空き家は900万戸
新聞を読んでいると、最近こんな記事をよく見かけます。
- 「住宅ローンのフラット35(長期固定)が年3.46%」
- 「東京23区の新築マンション価格は高止まり」
一方で、テレビやネットのニュースでは、
- 「空き家が増え続けている」
- 「全国の空き家は900万戸を超えた」 という話も耳にします。
家が足りなくて値上がりしているのなら分かります。しかし実際には、空き家は増えているのに住宅価格は上がっている。なんとも不思議な現象です。
今日は投資や株の話ではなく、この「住宅価格とライフスタイル」について考えてみたいと思います。
コロナ禍で変わった「住む場所」の価値観
2020年、新型コロナウイルスが流行し、多くの企業でテレワークが導入されました。当時は「もう都心に住む必要はない」と言われていたものです。
実際、以下のような企業も現れました。
- 通勤は週1回
- 会議はオンライン
- 地方移住を歓迎(どこに住んでもよい)
都心から離れ、湘南や軽井沢へ移住した人、地方都市へ引っ越した人などがテレビでも盛んに取り上げられていました。私自身も「これからは東京一極集中が終わるかもしれない」と思っていた一人です。
ところが、数年経った現在(2026年)はどうでしょう。東京23区のマンション価格は、さらに高騰を続けています。
東京23区だけが別世界になっている
住宅価格の上昇は、日本全国一律ではありません。特に値上がりが顕著なのは、以下のようなエリアです。
- 東京23区
- 大阪中心部
- 再開発エリア
- 駅前タワーマンション
都心部の新築マンションでは、1億円を超える物件は当たり前になりました。 一方で、郊外では空き家が増え、地方では人口減少が続いています。
つまり、日本全体で住宅が不足しているわけではなく、むしろ余っているのです。それなのに価格が上がる理由のひとつは、「みんなが欲しい場所が集中しているから」です。
住宅は工場で大量生産できる商品とは違います。東京駅や新宿駅の近くの土地を増やすことはできません。希少な場所に需要が集中すれば、当然価格は上がります。
さらに建築費も上がっている
最近は、住宅そのものを建てるコスト(建築資材)も上がっています。
- 木材、鉄鋼、コンクリート
- 住宅設備、電線、給湯器
ありとあらゆるものが値上がりしました。
さらに深刻なのが「職人不足」です。大工さんも左官屋さんも高齢化が進んでおり、若い職人が増えていません。 「材料も高い、人件費も高い」。その結果、新築住宅の価格はどんどん上昇しています。
「家が余っているのになぜ高いのか」という疑問に対しては、「新しく作るコスト(供給側の都合)が上がっている」という理由も大きいのです。
私が選んだ「終の棲家」
そんな中、私は2022年に今の家を購入しました。年齢は62歳、定年後を見据えての購入で、いわゆる「終の棲家(ついのすみか)」です。
場所は東京ではなく、首都圏の郊外です。 東京駅、銀座、新宿、池袋、渋谷へは、おおむね1時間圏内。ただし、実際にはほとんど行きません。私が重視したのは、まったく別の条件でした。
年金生活者が重視するもの
今の家は、「駅と総合病院を結ぶバス路線沿い」にあります。しかも始発便があり、バス停までは徒歩2分。徒歩圏内にはスーパーが3軒あり、駐車スペースもあります。病院にも買い物にも困りません。
これが年金生活者の私にとっては、最も重要なことでした。
若い頃であれば「会社まで30分」という利便性が価値だったかもしれません。しかし、退職後は毎日会社へ行くわけではありません。通勤時間の短さよりも、以下の条件の方がはるかに重要になりました。
- 病院への行きやすさ
- スーパーの近さ
- バス(公共交通機関)の本数
- 駐車場の有無
住宅選びは、年齢によって価値観がガラリと変わるのです。
マンションから戸建てへ住み替えた理由
それまでは近くのマンションに住んでいました。もちろん住宅ローンは完済していましたが、あることがずっと気になっていました。
それは、「共益費」「修繕積立金」「月極駐車場代」です。 これらを合計すると月に約5万円。年間では60万円、10年で600万円になります。ローンは終わっているのに、毎月5万円が消えていくことにだんだんと疑問を感じるようになりました。
そこで現在の戸建てへ住み替えました。結果として、非常に満足しています。
- 庭仕事やDIYができる
- 車を目の前に停められる
- 周囲の騒音が少ない

私にはこちらの暮らしの方が合っていました。 ※ちなみに、この「分譲マンションの維持費」の話は長くなりそうなので、次回改めて詳しく書いてみたいと思います。
流行は変わる、人生は予定通りに進まない
住宅価格を見ていると、その時々の「流行」があると感じます。少し前までは武蔵小杉、吉祥寺、国立などが人気で、テレビや雑誌の「住みたい街ランキング」で価格も大きく上昇しました。
しかし、思い出してください。住宅ローンは35年返済が一般的です。35年という時間は想像以上に長いものです。
若い頃は「収入は右肩上がりだ」と思いがちですが、現実は違います。
- 病気やケガのリスク
- 会社の倒産やリストラ
- 景気後退(バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍など)
未来を完全に予測することはできません。住宅ローンを組む時は、「最も調子が良い時の収入」ではなく、「悪い時」のことも想定しておく必要があります。
また、近年の東日本大震災や能登半島地震、大規模な火災や水害など、自然災害のリスクも無視できません。「購入した住宅が、将来も必ず価値を保つ」という保証はどこにもないのです。
まとめ:ライフスタイルに合う家が一番
住宅価格のニュースを見るたびに私は思います。「家は投資商品ではなく、本来は暮らすためのものだ」と。
もちろん資産価値も重要ですが、自分に合わない場所で、高いローンを払い続ける生活が幸せとは限りません。私にとっては、都心のタワーマンションよりも、今の郊外の戸建ての方がはるかに価値があります。
- 徒歩圏にスーパーがある
- 病院へ行きやすい
- 車を停められる
- 静かに暮らせる
それだけで十分なのです。
現在、東京23区のマンション価格が上がる一方で、郊外や地方では空き家が増え、二極化が進んでいます。しかし、住宅は株価のように数字だけで評価できるものではありません。若い世代には若い世代の、年金生活者には年金生活者の価値観があります。
重要なのは、「今流行している場所」ではなく、「自分がどんな暮らしをしたいのか」ではないでしょうか。
金利が上がり始めた今だからこそ、住宅を考える際は価格やランキングに惑わされず、自分自身のライフスタイルと将来の暮らし方を見つめ直してみる必要があるのかもしれません。



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