― 電話もLINEもできることは同じ?
新しいiPhone Duo 発表
新しいiPhoneが発表されました。 毎年この時期になると「カメラが進化しました」「処理速度が上がりました」「さらに薄くなりました」といった話を聞くのですが、今年はそんな性能の話よりも先に、私の目に飛び込んできた数字がありました。
57万4,800円。
一瞬、「NVIDIAの最新GPUを積んだゲーミングパソコンの価格かな?」と思いました。 違いました。電話です。 正確には、Appleが発表した初の折りたたみ式iPhone、「iPhone Duo」です。
256GBモデルが364,800円。そして最上位の2TBモデルは、なんと574,800円。 消費税込みとはいえ、57万円です。もう「スマホを買う」というより、「何かの設備を導入する」くらいの金額になってきました。
月額で見ると安く……見える?
さすがのAppleも「57万4,800円です!」と正面から言うより、月額表示にした方が心理的な衝撃が小さいのでしょう。 256GBモデルは、Apple公式で36回払い・月10,133円から。2TBモデルを単純に36回で割れば、月約15,967円となります。
「月1万円ちょっと(または1万6,000円)」と書かれると、「まあ、そのくらいなら……」と思ってしまいそうです。 しかし、36回払った総額は当然36万円や57万円になります。分割払いにしても本体価格が消えるわけではありません。 スーパーで57万円の商品に「1日あたり約1,570円です!」(※3年換算なら約525円)と書かれていたら、私は少し疑ってしまうと思います。
しかも、この金額はあくまで機械代です。 iPhone Duoを57万円で買って机の上に置いたところで、それだけでは電話はできません。通信会社との契約が必要です。 つまり、57万円払って、さらに通信料も払う。 当然と言えば当然なのですが、50万円を超えたあたりから、この当然の話も改めて確認したくなってきます。
57万円の電話は、どこに置けばいいのか
それにしても57万円。どなた様がお使いになられるのでしょう。私は少し心配になります。
普通にズボンのポケットへ入れていいのでしょうか。お尻のポケットに入れてそのまま椅子に座ってしまった日には、その日の夕食が喉を通らなくなりそうです。玄関で落としたら悲鳴が出ます。 できれば帰宅したら柔らかい布で包み、桐の箱に収納。床の間があればそこへ置きたいくらいです。
しかし、どれだけ高価でもスマートフォンです。結局はポケットに入れます。駅のホームで取り出します。LINEを見ます。コンビニでPayPayを開きます。場合によっては歩きながら画面を見ている人もいるでしょう。 57万円でも、使われ方はスマホなのです。
本国アメリカではいくらなのか
ここで気になりました。「日本だけ異常に高いのではないか? 本国アメリカではどうなのだろう」と。
Appleの米国価格を見ると、256GBモデルは1,999ドルから。最上位2TBモデル(報道数値)の3,199ドルを基準にすると、日本円換算でもかなり大きな金額になります。 仮に1ドル153円なら、以下の通りです。
- 1,999ドル × 153円 = 305,847円
- 3,199ドル × 153円 = 489,447円
ただし、米国の表示価格は基本的にSales Tax(州税等)を含まない価格です。一方、日本の364,800円と574,800円は消費税込み。 そこで、日本価格から消費税10%を除いてみます。
- 364,800円 ÷ 1.1 = 約331,636円
- 574,800円 ÷ 1.1 = 約522,545円
256GBモデルの税抜き日本価格(約331,636円)を米国価格(1,999ドル)で割ると、1ドル=約166円となります。 かなり円安側を見込んだ価格設定に見えます。最近は円相場が動くたびに、S&P500を保有している私は「今日は円高か……」と為替を眺めていますが、Appleはもっと遠くを見ているようです。1ドル166円の世界。できればそこまでは行ってほしくありません。
日本人には、さらに高く感じる
そして、単純な為替以上に大きいのが「所得の違い」です。
米国労働統計局によれば、2025年のフルタイム労働者の週給中央値は1,204ドル。単純に52週で計算すると、約62,600ドル(1,204ドル × 52)です。 1,999ドルのiPhone Duoなら、年間所得の約3.2%に相当します。
一方、日本では国税庁の2024年調査で、1年を通じて勤務した民間給与所得者の平均給与は478万円でした。 256GBモデル(364,800円)を478万円で割ると、約7.6%になります。
もちろん、米国は中央値、日本は平均値なので完全な同条件比較ではありません。それでも大まかな感覚として、米国では年間所得の約3%、日本では約8%。 同じiPhoneでも、所得に対する負担感はかなり違います。日本人からすると「高級スマホ」というより、「かなり本気の買い物」です。
私の記憶では、軽自動車が47万円だった
ここで、昭和生まれの記憶が突然よみがえります。 昔、「スズキ・アルト 47万円」という時代がありました。
もちろん今の軽自動車とは装備も安全性能も全く違います。エアコンもパワーウインドウも当たり前ではなかった時代です。 それでも、「自動車が47万円」。そして2026年、「電話が57万円」。 時代というのは進歩しているのでしょうか。それとも私の頭が時代についていけなくなったのでしょうか。たぶん両方です。
ところで、私の折りたたみスマホは月35円
実は私も折りたたみスマホを使っています。モトローラの「razr 50s」です。 折りたたみスマホ自体は、iPhoneよりAndroid勢の方がずっと先輩です。
私の場合、ソフトバンクの契約で、一定期間後に端末を返却・機種変更する前提のプログラムを利用しています。 8月の請求書を見ると、機種代金は35円。35万円ではありません、35円です。駄菓子のような値段です。

そして「60歳以上通話おトク割」「データ通信4GB」「あんしん保証パック」などを全部含めた8月の支払額が3,998円。 ちなみに「4GBでは少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、自宅ではWi-Fiを使っているため毎月余ります。動画を外で何時間も見るわけでもありません。私にはこれで十分です。
35円でも57万円でも、やることは同じ
さて。私のスマホの機種代金は月35円。iPhone Duoは最大で57万4,800円。ものすごい差です。
では、私がスマホで何をしているか。 電話をかけます。LINEをします。写真を撮ります。メールを見ます。Googleマップを使います。PayPayで支払います。ニュースを見ます。たまにChatGPTにも聞きます。
たぶん57万円のiPhone Duoを持ったとしても、私がやることは大きく変わりません。 もちろん、iPhone Duoには大型の折りたたみ画面、高性能CPU、高性能カメラ、AI機能など、私のrazr 50sにはない魅力がたくさんあるのでしょう。欲しい人が買うことを否定するつもりは毛頭ありません。
時計だって1万円で正確な時間が分かるのに100万円の時計を買う人がいます。車だって軽自動車で買い物に行けるのに1,000万円の車を買う人がいます。 趣味や所有する喜びまで「それ必要ですか?」と言い始めたら、世の中は随分つまらなくなります。
ですから57万円のiPhoneが欲しい方は、どうぞ買ってください。私は横から「おおー」と眺めさせてもらいます。
そして自分のスマホをポケットから取り出します。機種代、月35円。 LINEが来ます。普通に読めます。 電話が鳴ります。普通に話せます。 PayPayも「ペイペイ!」と言ってくれます。 今のところ私には、これで十分です。
ただし、57万円のiPhone Duoを持っている人を見かけたら、少しだけ丁寧に接したいと思います。 落としそうになったら、私の35円のスマホより先に助けます(笑)。


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