円安でホクホクって
この人、本当に経済のこと、そして今まさに国民が感じている生活の苦しさを理解しているのでしょうか。
ニュースで聞こえてきた「円安でホクホク」という言葉に、思わずテレビのリモコンを握る手に力が入りました。
ホクホクしているのは誰ですか? 輸出企業の決算書ですか? それとも為替差益が出る企業の財務部長の笑顔ですか?

少なくとも、スーパーのレジ前に並んでいる国民の財布は、まったく“ホクホク”していません。
日本は言うまでもなく資源小国です。
エネルギーの大部分を海外輸入に依存し、原油・LNG・石炭がなければ電気もガスも止まります。
食料自給率(カロリーベース)は約38%。つまり、私たちの食卓の6割以上は海外由来。
この構造で円安が進めばどうなるか。答えはシンプル。
輸入物価が上がり、生活コストが上がる。
経済学の教科書に載るレベルの話です。
言ってることは
「食料品の消費税を2年間減税します」
聞こえはいい。でも現実は、根本治療ではなく“湿布”。
1ドル=75円時代に仕入れていた輸入品が、1ドル=150円になれば、為替だけで原価は理論上ほぼ2倍。
そこに輸送費高騰、エネルギーコスト上昇、包装資材値上げ、人件費上昇が重なる。
この構造の中で消費税8%を下げても、効果は限定的。
水鉄砲で火山を消そうとしている感じです。
極論すれば、国民生活だけを考えるなら「1ドル=75円」に戻せばいい。
輸入物価は下がり、電気代もガス代も食料品も一気に楽になる。
物価高対策としての即効性は、消費税減税より為替安定の方が圧倒的に大きい。
しかし現実問題は
しかし、現実問題として、円高になれば輸出企業は苦しみ、株価は下がり、海外投資マネーは引き揚げ、S&P500に投資している私の資産評価額も円換算でガクンと下がる。
つまり、
「生活に優しい円高」 と 「資産運用に有利な円安」 は、きれいに正反対の方向を向いている。
国民生活と資産運用が、まるでブランコの両端に座っているような構図です。
それでもですよ。衆議院選挙の真っ最中に、物価高対策が最優先課題であるべき総理大臣が「円安でホクホク」などと口にするのは、政治的センスとしてはかなり危うい。
関西のおばちゃん的に言えば、「どの口が言うてんねん」です。
これで大丈夫なのか
しかもこの発言、その日のうちに世界中に報道され、当人は国内向け・海外向けのXで釈明していたようですが、読んでも何が言いたいのかよく分からない。
例えるなら、火事の現場で「火ではありません、情熱です」と説明しているような感じ。
いや、燃えてますやん、普通に。
台湾有事の発言しかり、政治家、しかも一国の首相を拝命している立場の人が、「何を言っていいのか」「何を言ってはいけないのか」の判断がつかないというのは、なかなかのホラーです。
まあ歴代を見渡せば、そういう人は決して少なくないわけですが、日本の政治史は時々ホラー映画になります。
それでも不思議なことに
それでも不思議なのは世論調査。
その政党が大幅躍進し、今回の選挙で単独過半数を取る予想まで出ている。
これはもう二択です。
① 私の見方が間違っている
② 野党が頼りなさすぎる
多分、②の要素がかなり強い気がします。
「支持している」というより、「他に選択肢がない」という消極的支持。
これは民主主義としては、なかなか切ない構図です。
国民が本当に欲しいのは難しい経済用語ではありません。
・電気代が下がる実感
・ガス代が下がる実感
・スーパーの会計が軽くなる実感
それだけです。
経済政策の成否は、レジのレシートで判断される。これが現実。
「円安でホクホク」という言葉の向こう側にあるのが、輸出企業の決算書だけでなく、国民の生活であることを、せめて言葉の選び方だけでも意識してほしいものです。
私は今日もレジでレシートを見て、円安を為替チャートではなく数字の羅列として実感しています。
なお、S&P500の評価額が円高で目減りする未来を想像しながら、
「生活が楽になるなら、資産評価額は我慢するか…」
とつぶやく自分も、まあまあ立派な“矛盾の塊”。
お後がよろしいようで
結局のところ、日本経済の最大の問題は、
円安か円高かではなく、
国民生活と経済政策の距離が遠すぎることなのかもしれません。
円安でホクホクしている人がいるなら、せめてその横で、
円安でヒリヒリしている国民の存在も、ちゃんと見てほしい。
ホクホクしているのは誰で、ヒリヒリしているのは誰なのか。
それを間違えた瞬間に、政治は経済ではなく“漫才”になります。
しかもツッコミ不在の、一番寒いやつです。



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