- 我が家をモデルに計算してみました
来年4月から、食品の消費税が1%に下がることになりました
来年4月から、食品の消費税が現在の8%から1%に下がることになりました。
「8%が1%!」
ニュースだけを聞くと、かなり大きな減税に思えます。
年金生活者にとって、毎日の食費は避けて通れない支出です。
車なら乗らないという選択肢もあります。
旅行なら今年は我慢することもできます。
しかし、「今月はお金がないから、夫婦そろって食事をやめよう」というわけにはいきません。
そこで今回は、食品の消費税が8%から1%になったら、我が家のような年金生活夫婦の家計が実際にどれだけ楽になるのか、電卓を叩いて考えてみることにしました。
※政府方針では給付と組み合わせた「実質ゼロ化」も検討されていますが、話が複雑になるため、今回は「純粋に税率が1%に下がった場合」のみで計算します。
ただし、最初に重要な条件を決めておきます。
今回の計算では、「食品そのものの価格(本体価格)は一切上がらない」ことにします。
税抜100円の商品は来年も100円。変わるのは消費税だけ。非常に素直な世界です。
本当にそんな世界になるのか……それは最後にもう一度考えることにします。
そもそも夫婦2人でいくら食べているのか
最初から問題が発生しました。
我が家の食費が分かりません。家計簿をつけていないからです。
妻に「うちの食費って月いくらくらい?」と聞いてみても、「知らない」。
私も知りません。夫婦2人とも知らない。
これでは税金以前の問題です。
そこで、こういうときは国の統計に助けてもらいます。
総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月の消費支出はおよそ26万円。そのうち食料費は約3割です。
ざっくり計算すると、
- 月の食費:約7万9,000円
- 年間では:約95万円
になります。
「2人で年間100万円近く食べているのか」と思いましたが、1日当たりにすると約2,600円。
2人で朝昼晩を食べて、コーヒーを飲んで、お菓子を少し食べて、果物も買う。そう考えると、特別ぜいたくな数字でもありません。
最近スーパーへ行くと、買い物カゴを見て「これだけしか入っていないのに、こんな金額?」と思うことも珍しくありません。
食費95万円全部が8%ではない
ただし、この約95万円のすべてに軽減税率8%がかかっているわけではありません。
統計上の「食料」には、軽減税率対象外の外食やお酒も含まれているからです。
そこで今回は少し控えめに、「食費の85%程度が軽減税率対象」と仮定します。
- 年間95万円 × 85% = 約80万円(税込)
これが軽減税率対象食品の年間購入額です。
税抜価格に戻すと、およそ74万円強。
- 現在(8%): 税抜約74万円 × 1.08 = 約80万円
- 減税後(1%): 税抜約74万円 × 1.01 = 約75万円
差し引きすると、
- 年間:約5万2,000円の得
- 月平均:約4,300円の得
です。
これは小さくありません。年金生活者にとって月4,000円以上違えば、十分に実感できる金額です。
コーヒー豆なら結構買えます。ガソリンも少し入れられます。夫婦でちょっとしたランチにも行けます。
年間5万円なら、素直にありがたい減税です。
「7%下がる=商品が7%安くなる」ではない
ここで数字上の注意がひとつあります。
現在、税抜100円(税込108円)の商品があったとします。
消費税が1%になれば、税抜100円(税込101円)になります。
確かに7円安くなります。
しかし、税込価格で見ると「108円が101円になる」ので、値下がり率は約6.5%です。
「消費税率が7ポイント下がる」ことと、「買い物金額が7%安くなる」のは少し違います。
まあ、108円が101円になるので喜んで良いのですが、数字を扱う以上、一応整理しておきます。
ところで、他の負担はどうなっている?
ここで私は少し疑問に思いました。
食品だけを見れば年間約5万2,000円の負担減。
では、その一方で年金生活者が払っている社会保険料などはどうなっているのでしょう。
会社員の頃は、給与明細にいろいろ引かれていても「また結構引かれているな」くらいで済ませていました。
ところが年金生活になると状況が変わります。
市役所から通知。年金機構から通知。国保から通知。介護保険から通知。
また別の封筒、また別のハガキ……。
「去年の通知書はどこだ?」と家の中を右往左往し、今回も最後はマイナポータルのお世話になりました。
年金生活になって時間は増えましたが、役所の書類を探す時間まで増えるとは思っていませんでした。
我が家の場合をモデルにしてみる
今回のブログでは、我が家の年金生活をモデルにします。
- 夫収入: 公的年金 約200万円 + 個人年金 年72万円
- 妻収入: 公的年金 約124万円
この世帯で、私の住んでいる市の保険料体系に当てはめて試算してみます。
- 国民健康保険税: 夫婦で年間約19万円
- 介護保険料: 夫約10万円 + 妻約7万7,000円 = 夫婦で年間約17万7,000円
ここで気になるのが、これらの社会保険料がここ数年で上がっていることです。
① 国民健康保険税はじわじわ上昇
私の住んでいる市では、数年前と現在を比べると料率も均等割額も上がっています。
同じ所得の高齢夫婦を数年前の制度と現在の制度に当てはめて比較すると、年間3万円強の負担増という計算になります。
② 介護保険料も上がっている
介護保険料も同じです。数年前の基準と比べると、同じ所得段階で夫婦で年間約1万円程度の増加になります。
国保と介護保険を合わせれば、年間4万円強の負担増です。
一目で見るとこうなる(我が家の負担まとめ)
今回の試算を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 家計への年間影響 | 備考 |
| 食品消費税(8%→1%) | 約 52,000円 の負担減 | 食品本体価格が変わらない前提 |
| 国民健康保険税の上昇 | 約 30,000〜35,000円 の負担増 | ここ数年の制度改定による増加分 |
| 介護保険料の上昇 | 約 10,000円 の負担増 | 保険料率・所得段階の見直し分 |
| 所得税・住民税 | 大きな変化なし | 森林環境税等は既存加算と入れ替え |
| 差し引きのトータル効果 | 年間 数千円〜1万円 程度の改善 | 月額に直すと数百円程度 |
食品消費税だけを見ると「年間約5万2,000円得する」のは確かです。
しかし、ここ数年の国保・介護保険料の上昇分を一緒に見ると、実質的に家計が楽になるのは年間数千円から1万円程度(月数百円)という計算になります。
「消費税を7ポイントも下げた!」というニュースの印象とは、ずいぶん違って見えてきます。
減税だけを見ると、大きく見える
誤解してほしくないのですが、私は食品消費税の減税に反対しているわけではありません。年間5万円程度負担が減るのであれば、年金生活者としては非常にありがたいことです。
ただし、「税金を下げました。だから生活は楽になりました」と単純には言えません。
国保も払う。介護保険料も払う。電気代もガソリン代も上がっている。
我々が生活しているのは「税率表の中」ではなく「財布の中」なのです。

減税だけに目を奪われず、別々の通知で届く社会保険料の上がり幅もセットで見なければ、本当の生活の姿は見えてきません。
でも、この計算には大きな前提がある
今回の計算の結論としては、「食品価格が現在のままで税率だけが下がるなら、年間数千円〜1万円程度は家計がプラスになる」ということになります。
大幅ではありませんが、少なくともマイナスではありません。
しかし、ここまでの計算には冒頭でお話しした「非常に大きな前提」があります。
「食品本体の価格が上がらないこと」です。
税抜100円の商品は、来年4月も100円。消費税だけが8円から1円になり、税込101円になる――。
本当にそんな上手い話があるのでしょうか。
食品メーカーやスーパーは、原材料費、人件費、物流費、電気代の高騰にずっと苦しんでいます。
そして来年4月、消費税率変更に伴って、値札やPOSレジ、システムマスターを一斉に書き換えるタイミングが訪れます。
もしそのタイミングで、「企業努力の限界です」と本体価格が4%、5%と上がったらどうなるでしょうか?
「食品消費税は1%になった。でも、本体価格が上がったら減税効果はどう消えるのか?」
次回は第二弾として、
「食品消費税は1%になった。でも、本体価格が上がったら減税効果はどう消えるのか?」
を、現実的な数字で具体的に検証・計算してみたいと思います。
減税される4月、スーパーの値札を見て「安くなった!」と喜べるのか、それとも「……あれ? 全然変わっていないぞ」となるのか。
次回も電卓を叩きながら考えてみます。



コメント