ホルムズ海峡危機でガソリン300円?

-日米首脳会談と日本経済への衝撃【前編】

第1章 日米首脳会談は何を話すのか

ホルムズ海峡は日本の生命線

今週、高市早苗 総理とドナルド・トランプ アメリカ大統領で日米首脳会談が行われます。
その会談はかなり「安全保障色の強いもの」になるでしょう。

その背景にあるのが、世界のエネルギーの大動脈とも呼ばれるホルムズ海峡です。

この海峡は、世界の原油輸送の**約20%**が通る場所です。
そして日本にとっては、まさに生命線とも言える海域です。

日本が輸入する原油の9割以上が中東産
そのほとんどが、この海峡を通って日本へ運ばれています。

もしこの海峡が封鎖されれば、日本経済は深刻な影響を受けます。

日米首脳会談で想定される3つのシナリオ

そのため、日米首脳会談では「自衛隊の関与」が議題になる可能性があります。

特に議論になりそうなのが「機雷掃海への自衛隊派遣」という問題です。

実はこれは、決して空想の話ではありません。
現実の外交の場でも十分にあり得るシナリオです。

そこで、日米首脳会談で想定される
3つのシナリオを考えてみました。

シナリオ① 役割分担でのグレーゾーン解決

直接要求せず、役割分担を求める

トランプ政権の外交思想は非常に明確です。

「アメリカは世界の警察をやめる」
「同盟国はもっと負担すべき」

つまり、アメリカ単独ではなく
同盟国に役割を分担させるという考え方です。

そのため会談では、次のような発言が出る可能性があります。

「ホルムズ海峡は日本の石油の生命線だ。
日本にも守る責任がある」

しかし、ここで

「掃海しろ」

と直接言うとは限りません。

実際には次のような形になる可能性が高いでしょう。

・海上警戒
・情報共有
・補給支援
・航行安全作戦

つまり、

「参加はするが戦闘はしない」

という形です。

これは2019年の中東緊張時とほぼ同じ構図です。

当時、日本は

・海上自衛隊を派遣
・ただし掃海は行わない
・情報収集任務のみ

という形で折り合いました。

今回も、このような
「グレーゾーン解決」
が最も現実的と考えられます。

シナリオ② 日本に強く迫る

トランプ大統領は交渉型の政治家です。

そのため、会談では次のような圧力をかける可能性があります。

「日本は石油の90%を中東に頼っている。
なのに掃海しないのか?」

その上で

・在日米軍負担増
・防衛費増額
・中東派遣

などをまとめて要求する可能性もあります。

しかし、日本には重要な制約があります。

それは法律です。

自衛隊が機雷掃海を行えるのは

・日本周辺有事
・存立危機事態

など、かなり限定された状況です。

ホルムズ海峡は日本から遠く、
法的には非常に微妙な地域です。

つまり日本側には「法律上できない」という交渉カードがあります。

シナリオ③ 最も危険なケース

もし中東の戦争が激化し

・イランによる機雷封鎖
・タンカー沈没
・原油供給停止

などが起きれば状況は変わります。

その場合、日本政府が存立危機事態を認定する可能性があります。

そうなると

・海上自衛隊掃海艇
・護衛艦
・補給艦

などが派遣される可能性があります。

日本の掃海能力は世界でもトップクラスで、アメリカ海軍も非常に高く評価しています。

日本の現実的な落としどころ

最終的に日本政府が目指すのは、おそらく次の形でしょう。

日本
・自衛隊は情報収集
・船舶護衛は限定
・掃海は行わない

アメリカ
・掃海は米軍中心
・日本は後方支援

つまり「参加しているが戦闘はしない」という、いつもの日本型外交です。

共同声明では、おそらく

「航行の自由を守る」

という外交上の定番表現が入るでしょう。

第2章 もしホルムズ海峡が止まったら日本経済はどうなる

ガソリン価格はどこまで上がるのか

ここからが本題です。

ホルムズ海峡が緊張状態になると、まず最初に上がるのが

原油価格です。

その影響は、数週間後にガソリン価格として現れます。
今は、まだ便乗と先物で価格が上がっているだけです。

もし危機が長期化すればガソリン300円/Lという話も、決して完全な空想ではありません。

日本にとって本当に怖いのは

一時的な急騰ではなく
1か月以上の長期化

です。

すでに国際エネルギー機関(IEA)は
過去最大規模の備蓄放出を決め、
日本政府も備蓄放出の準備を進めています。

しかし、日本は

原油輸入の9割以上を中東に依存

しています。

2026年1月の統計でも
中東依存率は**95%**です。

つまり日本は、先進国の中でも
最も影響を受けやすい国なのです。

ガソリン170円維持にはいくら必要か

政府は現在、ガソリン価格を170円前後に抑える政策を取ろうとしています。

しかし、その負担は非常に大きいものです。

日本のガソリン消費量は約30億L/月です。

そのため、1円の補助 → 約31億円/月になります。

つまり

補助1円 → 約31億円
補助10円 → 約309億円
補助25円 → 約775億円

となります。

しかも実際の制度では

・軽油
・灯油
・重油
・航空機燃料

も対象です。

すべて合わせると、月約1,360億円の規模になります。

つまり、毎月1400億円近くが消える計算です。

もしガソリン300円になったら

仮にガソリンが300円に近づき、170円維持のため

130円補助が必要になれば

ガソリンだけで月約4000億円になります。

軽油や灯油まで含めると月5000億円規模です。

半年続けば、3兆円です。

現実にはかなり厳しい数字です。

円安とインフレの悪循環

さらに問題があります。

原油価格が上がると、日本企業は大量のドルを買います。

石油はドル決済だからです。

その結果、円売り → 円安 になります。

円安になると、輸入物価がさらに上昇します。

つまり

原油高

円安

輸入物価上昇

インフレ

という悪循環になります。

日本の最大の弱点

ここで、日本の一番危ない点があります。

それは、賃金が追いつかないことです。

アメリカのインフレは賃金上昇を伴う場合が多いですが

日本の場合は

生活費 はアップする。
賃金 は変わらない。

になりやすい。

これが、スタグフレーションです。

今年の春闘の平均ベアは、約5%と言われています。

しかし、ガソリンが

155円 → 163円

になれば、それだけでほぼ相殺されてしまいます。

実際には、すでに多くの生活費がそれ以上に上昇しています。

4月からの賃上げの結果はすでにマイナスからのスタートとなります。

世界が望んでいること

この問題は日本だけではありません。

ホルムズ海峡が止まれば

・中国
・韓国
・インド
・ヨーロッパ

も大打撃を受けます。

そのため、世界中が

「この衝突を止めてほしい」

と考えているはずです。

ホルムズ海峡危機と日米首脳会談をテレビで不安そうに見る老人

もちろん、外交の世界では
それを直接言えない場合もあります。

しかし、日本としては、同盟国としての立場から

日米首脳会談の場で

この緊張を緩和する方向に働きかけてほしいものです。

後編の予告

そして次回の記事では、もし本当に

ホルムズ海峡が完全に止まったら

日本は何日でパニックになるのか

という問題を考えてみたいと思います。

(後編へ続く)

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